"Becoming Belle" (Nuala O'Connor)

 読みたい洋書が溜まって困っていますが、まあ一つ一つ:

Becoming Belle (English Edition)

Becoming Belle (English Edition)

 

 19世紀末に実在した女性、Isabel  (通称 Belle) Biltonの物語。イギリスのナショナル・ポートレート・ギャラリーにも当時のブロマイドが所蔵されているそうで、人気のダンサー(というかアイドル?)だったらしい。

とはいえ男運は悪く、最初の男は結婚詐欺師。貢がされ妊娠させられ捨てられるというお決まりのパターンで、この辺までは正直読んでいても少々うんざりしました。

しかしそこからたくましくなるのが女性の強さ・面白さで、職業婦人としてのプライドがむくむくと湧き上がってくる。次に愛したのがアイルランド貴族のお坊ちゃまで、これも客観的にはかなりの「だめんず」なんだけど、父親に頭が上がらない坊やに「そんなの私が養ってあげるから!」と肝っ玉がすわったところを見せるBelleは、どんどんカッコよくなっていくのでした。

秘密裏に結婚するも、父親に脅されてしぶしぶ離婚訴訟を起こしたダメ坊ちゃん。だけどBelleはそれを毅然と立ち向かい、見事勝訴すると、そのカッコよさに坊ちゃんはまた惚れ直し…って、あんたら何やってんですか?とツッコミたくなるけど実話ですからね。まあ後半はなかなか面白かったです。

著者の作品を読むのはこれが3作目。最初に読んだ「The Closet of Savage Mementos」は、現代ものだけど設定が実は今作と似ているなあ、と読みながら思い起こしたりしました。個人的にはエミリー・ディケンソンが主人公の「Miss Emily」が翻訳されないかなあ、なんて思ったりしています。

shippopo.hatenablog.com

 

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ドイツの新刊から

 ◆"Zeitenwende" (Carmen Korn)

Zeitenwende (Jahrhundert-Trilogie 3) (German Edition)

Zeitenwende (Jahrhundert-Trilogie 3) (German Edition)

 

 シリーズ名として「百年の物語3部作」となっているように、4人の女性とその家族を中心とした現代史絡みの長編という感じ。なんかエレナ・フェッランテの「ナポリの物語」シリーズを連想させますね。私はフェッランテは挫折しちゃってるけど、こっちは読んでみたいな。

 1作目と2作目はこちら:

 フェッランテは日本では2作目まで紹介されましたが、欧米ほどの話題には今のところなってない印象:

リラとわたし (ナポリの物語(1))

リラとわたし (ナポリの物語(1))

 
新しい名字 (ナポリの物語2)

新しい名字 (ナポリの物語2)

 

 

◆ Die Löwenhof-Saga (Corina Bomann)

 これもちょっと女性ものの3部作で、上記の作品よりややロマンス寄り、という感じ?みんな長いお話が好きなのね。そりゃ面白ければ長いほうがより嬉しいですよね。

マジック・ランタン展(於:東京都写真美術館)

有休取って行ってきました。

一時期ファンタズマゴリアとかにハマっていたことがありまして。

きっかけは確か、この辺?

ロンドンの見世物 1

ロンドンの見世物 1

 
ロンドンの見世物 2

ロンドンの見世物 2

 
ロンドンの見世物 (3)

ロンドンの見世物 (3)

 

 展示はこじんまりながらも、なかなか興味深いものがありました。意外にも「日本のマジック・ランタン」=「写し絵」の展示が充実していて引き込まれました。単に投影しているだけじゃなくて、ちゃんと一つの「芸」として確立しているのね。ちょっとこれは公演観に行きたいかも!

ドイツの新刊から

◆"Deutsches Haus" (Annette Hess)

Deutsches Haus

Deutsches Haus

 

 1963年、アウシュヴィッツ関連裁判で通訳を務めることになり、それまでの順調な人生に大きな変化が起きていく女性の姿を描いた作品とのこと。著者はこれまで映画やTVドラマの脚本を多く手掛けていた人で、調べたら「青い棘」の脚本にも参加してました。おおー懐かしい。

青い棘 [DVD]

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 わたくし個人的ごひいきのフローリアン・ルーカス君主演の長編ホームドラマ、"Weissensee"の脚本も手掛けているとか。これずっと観たくてチェックだけはしてるんだけど…。 

 

◆"Junger Mann" (ヴォルフ・ハース)

Junger Mann

Junger Mann

 

 おデブの13歳が人妻への恋をきっかけにダイエットに励み、理想の自分を手に入れようとするも事件に巻き込まれ…って、若すぎるだろ!とツッコミたくなるあらすじ紹介なんですが、でも面白そうですよね。

著者の翻訳は以下のミステリくらいですが、もっと色々出してほしいなあ:

きたれ、甘き死よ (現代ウィーン・ミステリー・シリーズ)

きたれ、甘き死よ (現代ウィーン・ミステリー・シリーズ)

 

ドイツの新刊から

◆"Der Zopf" (Laetitia Colombani)

Der Zopf: Roman (German Edition)

Der Zopf: Roman (German Edition)

 

 題名の「三つ編み」のように、それぞれに生きる三人の女性の運命が交差する、みたいなスケールの大きな女性ものっぽい。原書はフランス語で、ただいま英訳が進行中。ちょっと楽しみ。

The Braid (English Edition)

The Braid (English Edition)

 

 

◆ "Das Verschwinden des Josef Mengele" (オリヴィエ・ゲーズ)

Das Verschwinden des Josef Mengele

Das Verschwinden des Josef Mengele

 

 これも原書はフランス語。もうすぐ日本語版が出るのを確認しました:

ヨーゼフ・メンゲレの逃亡 (海外文学セレクション)

ヨーゼフ・メンゲレの逃亡 (海外文学セレクション)

 

 著者は映画「アイヒマンを追え!」の脚本にも参加しているとのこと。あーまだこれ観ようと思って延び延びになってるなあ…。

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男 [DVD]

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ドイツの新刊から

 ◆"Was man von hier aus sehen kann" (Mariana Leky)

Was man von hier aus sehen kann

Was man von hier aus sehen kann

 

村人の誰かが24時間以内に死ぬと予知できる(しかし誰が死ぬのかまでは判らない)女性 Selma とその孫娘を中心に、愛と死について書かれた小説、らしい。どうせ死ぬなら、と思い切った行動に出る人たちが描かれるのかな。紹介文の中に「孫娘の想い人は仏教に傾倒して日本の禅寺にいる」ってあるのがちょっと心配?なんだけど…。

著者はこれが長編3作目ということ。

 

 ◆"Die Katze und der General" (Nino Haratischwili)

Die Katze und der General: Roman

Die Katze und der General: Roman

 

 「猫と将軍」って題名だけでワクワクしちゃいますが、主題はソビエト崩壊と結構重そう。著者はジョージアグルジア)出身で、前作の"Das Achte Leben"は旧東欧視点からの家族もの大長編で話題を呼んだよう。(英語版も近々出るみたい)

Das achte Leben (Fuer Brilka)

Das achte Leben (Fuer Brilka)

 
The Eighth Life

The Eighth Life

 

ドイツの新刊から

 ◆Die Kreuzfahrer (Wladimir Kaminer)

Die Kreuzfahrer (German Edition)

Die Kreuzfahrer (German Edition)

 

 ロシア系移民の視点から軽妙に現代ドイツを語るKaminer。"Russen Disko"は私も頑張って原書で読みました。これ小説部門に入っているけどエッセイではないのかな?