「黒人リズム感の秘密」(七類誠一郎 a.k.a. Tony Tee)


図書館にて借出し:


黒人リズム感の秘密

黒人リズム感の秘密


以前↓を読んだ際に、菊地成孔氏が「これ、実に痛快な一冊なんで是非とも入手して読んでください(笑)」
と絶賛していたのが凄く気になってました。当時は多分絶版か入手困難だったと思うのですが、今年になって
改訂版が出たのはやっぱり菊地効果?


↑これもまた痛快な一冊。


基本的にはダンスの指南書でして、足捌きを重視するヨーロッパ、手の動きに注目するアジアと違って
黒人のダンスは体幹(頭から胴体)の揺れによって生まれる、更にヨーロッパ・アジアが筋肉の緊張を
伴って踊るのに対し、黒人の基本形は「脱力」であり、そこから力を「タメ」て瞬間にしなり、そして
また脱力する…といったような理論を極めて実践的に説き明かしています。


ただでさえ運動音痴の私が黒人みたいに踊ろうなんて考えているわけでは全くありませんが、それでも
確かに読んでて痛快痛快!でありました。決して文章のプロではないけれど、何事かを極めたプロの方の
文章って巧まずして面白い。書くことに気後れしてないと言いましょうか、踊ることの力を信じていると
言いましょうか、それが独特の↑アゲアゲ↑感というかグルーブ感となって読んでる方にも伝わってきます。

かくゆう私もよく踊った。横断歩道をバックフロートで渡ったり、バス停でブレイキングもやったり、
ラルフスや食料マーケットの深夜はシェネの絶好の練習場所だったし、レジで並ぶ人を見つけては踊りを見せた。
すれ違う黒人がガンを飛ばしてくるときは速攻で踊ってバトルしたし、人と初めて会うときは必ずと
いっていいほど踊って挨拶をしたものである。踊って良いことはあっても悪いことは一度もなかった。(p.174)


いいなーこういうの元気出るなー。もっともっと読みたい!と思っていたのですが、残念ながら著者は今年7月に
ガンで亡くなられたとのこと。ホント残念です。ご冥福をお祈りします。