「Mend the Living」(Maylis de Kerangal)

原書はフランス語の"Réparer les vivants":

Mend the Living: WINNER OF THE WELLCOME BOOK PRIZE 2017 (English Edition)

Mend the Living: WINNER OF THE WELLCOME BOOK PRIZE 2017 (English Edition)


著者は前作 "Naissance d'un pont"がメディシス賞、今作がRTL(ラジオ局)図書大賞を受賞ということで、いま波に乗ってる作家らしいので読んでみました。


今作のテーマは心臓移植。一人の少年が事故で脳死状態になってから移植手術が行われるまでを、それに関わった人たち(家族、恋人、医療関係者…)のその都度の言動に焦点を合わせながら淡々と描いていきます。
臓器移植関係の小説は得てして犯罪絡み(闇取引とか)になってしまいがちですが、この作品にそういう要素は無く、あくまで関係者の心の動きを追うだけで物語を成立させる正攻法。著者に相当の力量と覚悟がなければ出来ないわけで、一切ごまかしのない作風は見事(疲れるけど)。
自分の肉親が脳死状態だと宣言された直後に臓器提供の許諾を求められるって、頭でわかっていてもやっぱりキツイ…求める医療側の方もキツイ…そんなこともつらづら考えながら読了しました。


関連作品として、だらだらとこんなのを観始めてしまったり…。