「Euphoria」(Lily King)

Euphoria

Euphoria

「洋書ファンクラブ」による紹介


学生時代は結構ベイトソンにハマっていた↓ので、マーガレット・ミードはその「元カノ」と意識していました。その2人がモデルになっていると聞いたらやっぱり読んでみたいじゃないですかー。


精神の生態学

精神の生態学


文化人類学がまだ「学問」として成立されていない黎明期に、それぞれが使命感を持って様々なアプローチで独自の理論を構築していこうとする、そんな困難ながらもやりがいを感じる状態をEuphoria(多幸感)と呼んでいるのでしょうか。主要人物3人のフィールドワークに掛ける熱気が感じられる前半はとてもワクワクして楽しかったです。


しかし設定は明らかに彼らがモデルでありながら、内容は(特に後半は)全くの創作、しかも終盤はいかにも小説的な展開で、えーこれでいいの?と思ってしまいました。まあ小説としては良いんだけどこれで…、と読了直後はあまり評価できませんでした。



ちょっとモヤモヤ感が残るのは、しかし、私がモデルの人物のことをそれなりに知っているからで、全く白紙の状態で読んでいたらそれは問題ではないのかも。
、と思い直したのは先日『ゾリ』(コラム・マッキャン)のヒロインのモデルになったパブーシャの映画↓が公開されるという記事を読んだから:


ゾリ

ゾリ

(感想:http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20070413


この小説も後半から史実とはかなりかけ離れていくのですが、当時の私は(今もですが)パブーシャ本人のことは知らなかったのでその変更には全く抵抗がなかったです。それを考えると今回変更部分にこだわって評価を下げるのは理不尽なのかも。


でも現実のベイトソン&ミードの「その後の人生」の方が小説よりずっと波乱万丈な気がしてしまうので、その辺をもっと掘り下げてほしかったかな、とも思いました。結婚生活版、読んでみたいよねえ。