先月読んだ本から


4月はやや少なめ:


民のいない神 (エクス・リブリス)

民のいない神 (エクス・リブリス)

「民のいない神」:これ、出版年(原書は2012年)を知らなかったら訳者はこれを読んで「UFOとポストモダン」↓を書いたと思っちゃったでしょう。そのくらい↓の論点にドンピシャな内容の小説でした。時系列が交錯して読書の「波」に乗るまでに少々時間がかかりますが、補助線として先に↓読んでおけばその戸惑いも含めて一層楽しめると思います。セットで是非!

UFOとポストモダン (平凡社新書)

UFOとポストモダン (平凡社新書)



ステーション・イレブン (小学館文庫)

ステーション・イレブン (小学館文庫)

「ステーション・イレブン」:小学館文庫なんてビミョーなところから出ているせいか、全米図書賞の最終候補までなった割には日本ではあんまり話題になってないような。でも荒廃した近未来世界という設定、複数の時系列が並行して語られて最後に繋がる展開、シェイクスピアからグラフィック・ノベルまで詰め込んだ多様性などは、むしろ日本のアニメとも相性が良いんじゃないかと思えるほど。現代的な作風ですが読後感は悪くなかったです。


ハーレムの闘う本屋

ハーレムの闘う本屋

「ハーレムの闘う本屋」:黒人公民権運動が盛んだった1960年代を中心に、黒人の黒人による黒人のための本屋を経営してきた男、ルイス・ミショーの物語。こういう人がいたからこそ、少しずつでも私たちは前に進んでいける、そんな感慨を受けました。装丁からして中高生向けの本みたいですが大人にも読まれてほしいです。
邦題も良いけど原題"No Crystal Stair"の元ネタになっているラングストン・ヒューズの詩がまた素晴らしかったので、そのうち改めてヒューズの詩集は読んでみたいと思ってます。


映画関連では観るのを楽しみにしてたこちら:

リスボンへの夜行列車

リスボンへの夜行列車

(原作の感想:http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20080417
原作冒頭の「おでこ事件」がたまらなく好きだった私としては、いかに大好きなジェレミー・アイアンズ主演といえどもこれはやっぱりミスキャスト…ここはせめてエド・ハリスみたいなセクシーおでこの方に演じてもらいたかったわあ。他にも原作と比べるとあっさりとリスボンに出向いちゃったりと(そこまでの葛藤が面白いのに!)、総じて知的な雰囲気だけの映画になってしまった、という印象は否めません。
原作との比較については粉川哲夫氏が詳細に批評しています。全く同意、と言う他ありませんというくらい同意。
ドイツ映画ファン的にはマルティナ・ゲデックブルーノ・ガンツ、アウグスト・ディールといったおなじみの?面子が出てきてくれて嬉しかったです。全然ドイツ人の役じゃないけど。


5月は連休が読書にとって吉と出るか凶と出るか…まあ頑張ります。