「The Glassblower」(Petra Durst-Benning)


ドイツ語からの英訳:

The Glassblower (The Glassblower Trilogy Book 1) (English Edition)

The Glassblower (The Glassblower Trilogy Book 1) (English Edition)

舞台は19世紀末、ガラス職人が集まるドイツの小さな村、ラウシャ。しっかり者のJohanna、恋する年頃のRuth、絵を描くことが好きで夢見がちなMarie、の美人三姉妹は、母親を早くに亡くしたものの腕利きの職人である父親に守られて平和に暮らしていたが、突然の父の死で世間の荒波に放り出されることになる。生活のためにとりあえず村の中でも大手のガラス工房で働くことにした三人だったが…。


女が商売に手を出したり、ガラス職人になるなんて…という周囲の偏見と闘いながら、それぞれ自分の進む道を少しずつ確かめつつ歩んでいく姉妹たち。ある意味朝ドラのように安定感のある筋書きですが、暴行とかDVなんかもあってややシビアな面も。尺は長めですが平易で具体的な描写だし、一難去ってまた一難という感じで飽きさせない工夫はさすが。三人とも結構無茶ばかりするので、大丈夫なのこれ?とハラハラしながら読み通しちゃいました。


ラウシャ Lauschaはクリスマス用飾りのガラス細工が特に有名な実在の村。クリスマスが近くなるとドイツのあちこちで表面に様々な絵が描かれたガラス玉が市に並んでましたっけ。まあ絵柄の出来はピンキリだったけど、彼女たちの作るガラス玉はきっと繊細で素晴らしいんだろうな。



実際の村での作業光景など↑。この小説についても触れられています。



三姉妹の善き隣人でJohannaを慕っている(ベルばらでいえば「アンドレ・ポジション」の)Peterの専門はガラスの義眼作り。ホント良い人なので、この人だけは幸せになってほしいと読みながらずーっと思ってました。


本作は三部作の第一作目で、二作目はRuthの娘が主人公とのこと。また色々とハラハラさせられるんだろうな…続きもそのうち読んでみます。

The American Lady (The Glassblower Trilogy Book 2) (English Edition)

The American Lady (The Glassblower Trilogy Book 2) (English Edition)

The Paradise of Glass (The Glassblower Trilogy Book 3) (English Edition)

The Paradise of Glass (The Glassblower Trilogy Book 3) (English Edition)