「Talking to Ourselves」(Andres Neuman)


世界文学紹介のサイトTypographicalEraで推薦されていて興味を持ちました:


(Amazonとの連携がうまくいかないので、ここではペーパーバック版を貼っています)

Talking to Ourselves

Talking to Ourselves

Talking to Ourselves: A Novel

Talking to Ourselves: A Novel


最初の語り手は10歳の少年、Lito。父親Marioが唐突に彼と旅に出ると言いだし、おんぼろトラックでの奇妙な旅が始まる。父との二人旅にわくわくするLitoだったが…。


実はMarioは病気で死期が近く、息子との思い出を残したいという気持ちが今回の旅の動機につながっています。彼の語りは未来の息子へと向けられています。一方でMarioの妻であるElenaは一人残され(旅にも彼の死後の人生にも)、読書や不倫(!)に溺れていく自分を日記の形で淡々と綴っていきます。


短いながらも三人三様の語りが錯綜してかなり濃密な読了感でした。特にElenaの語りはヘビーだったな…。ちょっと個人的にバタバタしていて集中力を欠いた読書になってしまいましたが、それでも著者の力量は充分感じ取れました。旧作もそのうち読んでみたい:


Traveller of the Century

Traveller of the Century


著者については↓でも多少言及あり(「もう一つの国際語―『グランタ』誌が選ぶスペイン語圏の若手作家ベスト」の章)。ロベルト・ボラーニョも生前に著者を絶賛していたそうで、そう思うとMarioの造形はボラーニョへのオマージュ?と思えてきたり。Elenaの読む本の中にもボラーニョが出てきました:


生き延びるための世界文学: 21世紀の24冊

生き延びるための世界文学: 21世紀の24冊

これから日本でも本格的に紹介されるでしょう。(他のスペイン語圏作家も含めて)楽しみ!であります。