「The Miniaturist」(Jessie Burton)

デビュー作ながら、英国で既に幾つか賞を受賞している話題作。5月頃に早川書房から日本語版が出るというので慌てて読みました:


The Miniaturist: A Novel

The Miniaturist: A Novel

作品紹介(洋書ブッククラブ)


アムステルダムの商人Johannes(40歳前)に嫁いだ幼な妻(18歳)のNella。仕事にかまけて構ってやれないお詫びにと夫から贈られたのが豪華な造りのドールハウス。私はお人形遊びをする子供じゃない!もう立派な大人なのよ!と憤慨しつつも仕方なく調度品を整え始めたNellaだが、そこから何故か不思議な出来事が頻発して…。


いやー怒涛の新婚2カ月間。あまりに目まぐるしく展開するので、各登場人物に感情移入する間がないのが勿体ない。皆それぞれ興味深い過去を抱えているので、もっとその辺をじっくり描いてくれても良かったな。
東インド会社を中心に栄える17世紀のオランダを舞台に、宗教的には禁欲を求められ、しかし世俗的には裕福になっていく市民たちの矛盾が描かれているのが興味深かったです。活躍する男性達の後ろでひっそり身を潜めざるをえない女性達の姿も印象的。


物語最大の謎に落とし前をつけてないのは大減点だけど、苦境に立ち向かううちにどんどんたくましくなるNellaちゃんが頼もしいので許してあげましょう(←偉そう)。でも本当はちゃんと対決させるべきだったと思う。
個人的にはBBC制作でドラマ化してほしいです。


小説内のモデルとなったドールハウスアムステルダム国立美術館蔵)は↓で紹介されています:

なるほど、これはお金かかりそう…。