先月読んだ本から


今年の読書目標は、1)洋書を月1冊は読む、2)新刊ばかりでなく旧著もきちんと押さえる、です。がんばろー。


黄金時代

黄金時代

『黄金時代』:素晴らしい!架空の島の旅行記的な前半から、その島に存在するただ一冊の「本」にまつわる芳醇な物語群になだれ込む後半まで、飽きるところを知らずにうっとりと読み進めました。アイヴァス作品、もっともっと読みたいなあ。


知的生き方教室

知的生き方教室

『知的生き方教室』:昔の著者の作品は私の理解力を超えていて読んでいていつも「わ、わからん…」と涙目だったのですが、段々じわじわと毒が効いてきたというか、今回のこれなんてもう楽しくて楽しくて。これは著者が丸くなったのか私が意地悪になったのか…。

私が十数年、純文学という稼業に籍を置いて学んだ最大のことは結局、誰かの背後に忍び寄り、固いバットや鉄パイプで思い切り殴打せよ、というものだ。相手なんて誰だってよい。それが弱い者であるほどよい。(略)卑怯な方法を恥じる必要は決してない。そもそも純文学などという破廉恥なものに関わってしまった以上、いまさら何を恥じるというのだろうか?(略)
 弱者への妥協なき攻撃。これこそ文学者だけが味わえる特権である。」(P.12)

非道い(笑)。章題も「トーマスは憎しみの蒸気を上げる」とか、想像しただけで怖すぎておかしい…。



『33年後のなんとなく、クリスタル』:読むにあたって前作も読みました(初読?再読?よくわからない)。33年前は地方の中学生だったのでこんなクリスタルな生活とは全く無縁だったな…。田中氏の本で言えば個人的には東京で社会人になってから『いまどき真っ当な料理店』を結構真面目に参考にしていた時期もありました。

いまどき真っ当な料理店 (幻冬舎文庫)

いまどき真っ当な料理店 (幻冬舎文庫)


今作は単純な続編ではなくて、前作登場人物のモデルとなった由利その他女性陣と康夫ちゃん自身が再会して当時と現在を語り合う、というちょっとメタっぽい作りになっているのが面白かったです。とはいえやっぱり女性陣のクリスタルな生活は今でも私とは無縁ですが…。
康夫ちゃんは「作家」とか「政治家」とかの肩書抜きでも素の本人が率直で面白い人だと改めて感じました。憎めない人というか。


旧著探索としては、先日読んだ「Arctic Summer」のおさらいとして「インドへの道」の小説と映画を:

インドへの道 (E.M.フォースター著作集)

インドへの道 (E.M.フォースター著作集)


昔、映画だけ観たときには「なんなんだこの女(アデラ)は!」状態で全く感心しなかったのですが、「Arctic...」→原作→映画の順で鑑賞すると、それぞれポイントの置き方の違いが分かって興味深かったです。映画は明らかにアデラを中心に描いているので、女性映画として観ればこれはこれでありなのかと思ったりもしました(とはいえやっぱり好きにはなれない)。
原作では皆それぞれに欠点や偏見があって、そこから誤解や問題が生じ物語がじわじわと動いていく…という印象を強く受けました。中心となっているのはインド人医師アジスとイギリス人教授のフィールディングの(すれ違いも含めた)交流で、最後の会話なんてほとんどBLじゃん…なんて思ってしまったり。


しかしDVDには「愛しても愛されてもいけない2人。マラバー洞窟の中でいったい何が起こったのか!?」なんて惹句が書いてあってブッ飛びました。これってアデラ&アジスへのミスリードを誘っているつもり?そのくせジャケットではむしろアデラ&フィールディングを狙ったような写真を使ってるし。なにか他に隠していることがあるんじゃないの?と思わず突っ込みたくなります。


直接関係ないですが、ちょうど深夜TVで『眺めのいい部屋』を放映していたので再見したら、いやー役者陣がみんな若くてビックリ。ヘレナもダニーもジュディ・デンチですら若い!特に弟役のルパート・グレイヴスなんて前髪パラリの美少年で、いや「Sherlock」のレストレード警部役も良い感じに年取ってて好きですけどこの頃はホント可愛かったのよね…(なんだかどんどんミーハーな内容になってきた)

眺めのいい部屋 HDニューマスター版 [DVD]

眺めのいい部屋 HDニューマスター版 [DVD]

マギー・スミスだけはあんまり変わってないと思いました。そのままホグワーツ行けそう。