最近読んだ本から

面白い本、沢山読みました:

昏い水 (新潮クレスト・ブックス)

昏い水 (新潮クレスト・ブックス)

日本人の恋びと

日本人の恋びと

『昏い水』/『日本人の恋びと』:どちらの物語も人生の終盤に入った老齢の女性達を中心に展開するのですが、いやあみなさんなんてパワフルなの。「老い」を主題に日本だと暗くシリアスにしか進まないような内容も、ユーモアも交え人間味たっぷりに描いてあってグイグイ読まされました。周辺の人物も丁寧に書き込まれていて、全員主人公になれそう。


ドラブルは以前読んだエドナ・オブライエンと同様、日本ではフェミニズム運動の流れの中で「女性の本音小説」的な紹介をされていた印象があって、ちょっと敬遠気味だったのですが、今回読んだらその辺の背景なんてもうどうでもいいなーと思える面白さでした。ドラブルとオブライエンの旧作、新潮クレストあたりで出し直したら色眼鏡なしに素直に読んでくれる読者が増えそう。私ももっとちゃんと読んでみよう。



雪の階 (単行本)

雪の階 (単行本)

『雪の階』:やっぱり奥泉光は読んでて楽しいなー。今作は『グランド・ミステリー』を彷彿とさせる骨太のミステリで、そこここに奥泉節を散りばめながらもメタに逃げ込まなかったので好印象。
しかし奥泉作品に出てくるダメ男くんって、本当に残念なインテリダメ男くんばかりで読んでてニヤニヤしてしまう。女性の方が決断早くて行動力があって気持ちいいよね!



外の世界

外の世界

『外の世界』:マグリットの不穏な挿画が表紙だったので、不条理&メタっぽい話かな?と思っていたら、事実関係は実際に起こった誘拐事件をかなり忠実にたどっていると知ってちょっとビックリ。過去と現在が交差する構成が絶妙でまたビックリ。しかもあとがき読んだら以前読んだ『パライソ・トラベル』の作者の新作と気づいてまたまたビックリ。いやあすっかり忘れてましたけど(汗)、現在精力的に活動しているようで嬉しい限り。今度は忘れないよ!



ゲームの王国 上

ゲームの王国 上

ゲームの王国 下

ゲームの王国 下

『ゲームの王国』:SF大賞受賞作。上巻から下巻への「切り換え」感が素晴らしい。SFというジャンルにこだわらない人にこそおススメしたい作品なので、受賞はひょっとしてむしろ潜在読者を遠ざけるかも?逆にSFファンは前半読んで「これはSFではない」って言うかも?ジャンル小説業界ならではのこういう問題提起は面白いですね。