最近読んだ本から

うーんすぐ1カ月経っちゃうな。


スウィングしなけりゃ意味がない

スウィングしなけりゃ意味がない

「スウィングしなけりゃ意味がない」:ナチス・ドイツ時代のハンブルクを舞台に繰り広げられる、ジャズに魅せられたボンボン(って今でも言うのかな?つまり金持ちのお坊ちゃん)達の大胆でほろ苦い抵抗の物語。戦時中はアメリカの敵性音楽として規制されていたジャズですが、当時のドイツの若者には他に盛り上がれる音楽が無く、流通禁止というその危ない状況もかえって魅力的に感じられて、一部では大いにもてはやされたよう。ベルリンからやや遠いハンブルクだからこそ多少大目に見られていたところもあったのかな。あえて今どきの若者口調でやや軽薄に進められる物語は、なかなか新鮮で読み応えがありました。
著者のブログで言及されている資料(これとかこれ)も充実!


ジャズ・アンバサダーズ 「アメリカ」の音楽外交史 (講談社選書メチエ)

ジャズ・アンバサダーズ 「アメリカ」の音楽外交史 (講談社選書メチエ)

「ジャズ・アンバサダーズ」:ちょっと時代的にはズレる(こちらは冷戦時代がメイン)けれど、ジャズがアメリカ以外の国々でどういう捉え方をされてきたか、またアメリカがジャズをどう売り込みたがったのか、を丹念に追った内容は非常に興味深く、ちょうど同時期に読んでいてとても参考になりました。


「闘う文豪とナチス・ドイツ」:こちらはもう少しオーソドックス?なナチス反戦もの。トーマス・マンの戦時反独運動は知っていたけれど、第二次大戦前にすでにノーベル賞受賞(1929年)、亡命(1933年)していたんですね。改めて知るところも多かったです。



大鎌殺人と収穫の秋 中年警部クルフティンガー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

大鎌殺人と収穫の秋 中年警部クルフティンガー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

「大鎌殺人と収穫の秋」:ナチスからは離れて「ご当地ミステリ」系シリーズの2作目など。適度に田舎ぽくて、主人公の刑事はとっても誠実さにあふれてて好きだわーこのシリーズ。ぜひテレビシリーズもどこかで放映してほしいです。


関係ないけどカズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞しましたが、海外文学どっぷりめの私としてはこの一時的なマスコミの熱狂ぶりに「えっカズオ・イシグロの名前も知らないって人がまだいるんだ」とかえって驚いちゃいました。まあこうやって現役の作家が注目されるのは良いですよね。