先月読んだ本から

今年から仕切り直しぢゃ!との決意も空しくアワアワしている内にtwitter文学賞や日本翻訳大賞の投票がもうすぐ終わっちゃう!という事態に陥り、なんとか投票は済ませたもののまだまだ先が見えませぬ…とりあえず幾つか感想を:


枕草子/方丈記/徒然草 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集07)」:とにかく高橋源一郎訳(というよりコラボ?)の「方丈記(モバイル・ハウス・ダイアリーズ)」に打ちのめされました。<6.アルマゲドン>なんて思わず原文と比較してしまいました:

震災の直後、人びとは、少し変わったように見えた。目が覚めた、まったくどうしようもない社会だったんだ、といい合ったりしていた。おれたちは、欲に目がくらんでいたんじゃないか、とも。そう、人も社会も、震災をきっかけにして変わるような気がしていた。
だが、何も変わらなかった。時がたつと、人びとは、自分がしゃべっていたことをすっかり忘れてしまったのだ。
 (参考:http://web.kawade.co.jp/bungei/924/

人皆あぢきなき事を述べて、聊(いささ)か、心の濁りも薄らぐと見えしかど、月日重なり、年経にし後は、言葉にかけていひ出づる人だになし。
(原文参考:http://www.geocities.jp/rikwhi/nyumon/az/houjoki_zen.html


当時も今も私たちは呆れるほど何も変わっていないことを痛感させられる、まさに源ちゃんならではの怪作。これを文学全集に入れる河出&池澤氏の英断にも感服。




アメリカーナ

アメリカーナ

アメリカーナ」:これは読んでてホント楽しかったなー。米国と移民、この複雑な関係を巧みに描きながら、語られるラブストーリーは至って王道。かなりのボリュームですが一気読みでした。



王様のためのホログラム

王様のためのホログラム

「王様のためのホログラム」:現代版「セールスマンの死」x「ゴドーを待ちながら」って感じ?と思って読んでいたら訳者のあとがきにもこの2作が挙げられていて、皆考えつくところは同じなのねーと自分の読みの浅さに反省。全体的にユーモラスで読後感は悪くなかったです。映画も公開されるのね(しかしトム・ハンクス出過ぎだ)。



トランペット

トランペット

モンテカルロ (フランダースの声)

モンテカルロ (フランダースの声)

火曜日 (フランダースの声)

火曜日 (フランダースの声)

「トランペット」/「モンテカルロ」/「火曜日」:こういう地味な良作こそ、きちっと感想が書きたいんだけど…今は紹介だけで手一杯。残念。



さてさて冒頭で述べた各賞の結果やいかに?でも一番楽しいのは、候補作の中から埋もれていた傑作を見つけ出すことですよね!というわけで経過にも大いに注目しております。