先月読んだ本から

9月は失業状態だったので、せっかくだからと果敢に大作にも挑戦(?):

ゴールドフィンチ1

ゴールドフィンチ1

ゴールドフィンチ 2  ゴールドフィンチ 3  ゴールドフィンチ 4
「ゴールドフィンチ」:読む前は「盗難絵画を巡る本格ミステリ」を予想していましたが、全然違いました!1巻目なんて絵はほとんど置き去り状態で、名画をそんないい加減な扱いで良いのー?と逆に心配になってしまいました。
しかし読み進めていくうちに、ああこれは現代のディケンズなんだ…と途中で気づいて合点がいきました。このゆったりとした話の進め方とクセの強い登場人物陣、結論を急ぐ今どきの小説ではないのです。21世紀でもディケンズ調は(少なくともアメリカでは)通用するんだ、と結構驚き。時間があるときに読みましょう。
登場人物の中ではやっぱりボリスが一番好きかな。主人公にイマイチ魅力が無いのがちょっとね…。



第三帝国 (ボラーニョ・コレクション)

第三帝国 (ボラーニョ・コレクション)

第三帝国」:ボードゲームおたくのドイツ人が恋人とスペインの海岸に休暇に来て…という設定が個人的にツボ(ドイツ人あるある)。主人公が持ち込んだゲーム上で展開される第二次大戦の再現(といっても勿論ゲームなので史実通りとはいかない)が、現実の人間関係に微妙に影を落としていくという構成も見事。まだ若い頃の作品らしいですが、ボラーニョ作品の中では一番わかりやすくて素直に面白いと感じました。長さもちょうどいいし(笑)。



ベスト・ストーリーズIII カボチャ頭

ベスト・ストーリーズIII カボチャ頭

「ベスト・ストーリーズ III」:現代小説の中でも特に新しいものが好きなので、I・IIは飛ばしてIIIから読むことに。収録されている作品・作者は正にオールスターズ!という感じで、短編の苦手な私にも大変楽しめました。冒頭のトレヴァーは勿論良かったし、他にもアップダイクとJ・バーンズの自由連想的な話が結構好みでした。また自分の引き出しが少し増えたような充実感。



ミルク殺人と憂鬱な夏──中年警部クルフティンガー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミルク殺人と憂鬱な夏──中年警部クルフティンガー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

「ミルク殺人と憂鬱な夏」:ドイツのご当地ミステリ。ローカル感満載ながら丁寧な筋書き、かつ心優しき主人公の警部さんの日常が良い味出してます。続編の翻訳&TVドラマ↓の日本放送を期待!


訛りはかなり強そう。



暇にまかせてTVドラマもどっぷりと:

「ホロウ・クラウン/嘆きの王冠」なかなかDVD化してくれそうにないのでHuluの2週間トライアルで視聴。(すでに解約)

いやあ堪能しました…(うっとり)。トムヒのハル王子、カンバーバッチのリチャード3世がハマり役なのは観る前から容易に想像がつきましたが、お話的にこれまで興味の薄かった「リチャード2世」のベン・ウィショーが素晴らしかったですね!ラストなんて明らかにキリスト殉教を彷彿させる、絵画のような非情な美しさ…これはたまりません。
ちょっと不満だったのはヘンリー4世でしょうか。ジェレミー・アイアンズは大好きなんですが、「リチャード2世」のヘンリー役の人が歳とってもジェレミーにはならんでしょ!その辺はまだケネス・ブラナーの方がしっくりいったんじゃないか…ケネスとトムヒの親子対決って観たかったしなあ(妄想)。あとやっぱりフォルスタッフはオーソン・ウェルズの印象が強すぎて今一つノレませんでした。



ブレイキング・バッド」:前から観てみたかったんですがタイミングよくCSで全シリーズ再放送してくれたので、朝ドラのように1日1話見続けて約3カ月、先日やっと最終回。確かにこれはすごかった…!


マンガにもどっぷり:

残酷な神が支配する」:連載中は内容があまりにヘヴィでとても読んでられませんでした…先日イベントで御尊顔を拝見してからファン熱が再燃、最近の未読作品はあらかた読みつくし残ったのがこの作品。そろそろ読みとおせるかな、と決意してやっぱり3カ月くらいかけて読了。予想以上に濃密でした…。
やはり前半の虐待場面は読んでてつらくて再読できなかったです。しかし後半にイアンとジェルミが延々と繰り返す回想と対話、そしてマンガならではの作画表現の繊細さに魅了されて、気がつくと後半は何度も何度も読み返し、しかも何度読んでも唸らされるという…。長年現役で描いてきて、なおもこの創造力。凄いなあ。もうノーベル賞でもなんでも差し上げたい気分であります。



10月には新しい仕事に就けそうなので、読書ペースはもっと落ちるかな。でも相変わらず気になる作品が多くて困っております。(海外ドラマの観すぎじゃ…)