先月読んだ本から


若者の住めない国

若者の住めない国

「若者の住めない国」:今でこそ平和なアイルランドですが、1910〜20年代独立運動から内戦への動き、また1960〜70年代に顕著なIRAを中心としたテロ活動などで身内同士が殺し合う痛ましい事件の数々は、そうそう記憶から消せるものではありません。その2つの時代の陰惨さを結び合わせる役目を果たす1人の狂女を軸に動き出す物語。


原書は1980年の発表ですが、既に当時こんな風に書ける作家がいたなんて。多分当時はIRAの暴力がもっと生々しく感じられていたはず。フォークナーのサーガを彷彿とさせるスケールと暴力性に圧倒されました。今まで知らなかったのが恥ずかしいくらい。


マイケル・コリンズ 特別編 [DVD]

マイケル・コリンズ 特別編 [DVD]

思わず「マイケル・コリンズ」の映画を観直しちゃいました。それというのも


「テロルと映画」:ちょうど同時期に↑を読んでいたので。テロルはしばしばスペクタクル(見世物)として消費される、なぜなら人々にその行為を知らしめることがテロの主たる目的であって、そのためには印象的な映像が不可欠だから。しかしそれでは、テロを扱った映画がアクションやスペクタクルを超えて先に行くにはどうすればいいのか?非常に考えさせるところの多い内容でした。



オルフェオ

オルフェオ

オルフェオ」:音楽&科学&哲学(&家族)という組合せという意味では、傑作「われらが歌う時」の延長線上にある作品。ただし現代音楽が中心になるので話についていくのはちょっとしんどい。でも久しぶりにパワーズで素直に楽しいと思ったかな。


一時帰還

一時帰還

「一時帰還」:戦争ものは文学も映画も苦手な方の私ですが、それでもこの作品がアメリカで評価され、全米文学賞を受賞したのには深く納得。多彩な語り口と、まるで自分が兵士に乗り移ったかのような具体性。いま読まれるべき本、という気がしました。



映画は話題性の高いものを中心に:

「ベル ある伯爵令嬢の恋」:町山智浩氏の解説で興味を持ちました。オースティン的「恋愛と財産と結婚」話に人種問題を取り込むことで話が一層複雑になって面白い!しかも実話ベースだっていうんだからスゴいなあ。


「バードマン」:これも町山氏の解説でずーっと観たいと思っていた作品。かなり好き。


ビッグ・アイズ [DVD]

ビッグ・アイズ [DVD]

ビッグ・アイズ」:これも町山氏推し。旦那役のクリストフ・ヴァルツが偉すぎる!(悪い意味で)


「エクスペンダブルズ3」:これなんて町山さんが誉めなければ絶対観ないジャンルなんだけど、解説が面白すぎてついついシリーズ全作観ているという…。


映画も好きだけど本も読まにゃあ!と言いつつAmazonプライムビデオを漁っている今日この頃…。