先月読んだ本から

先月は図らずしも「アジア月間」でありました:


愉楽

愉楽

「愉楽」:第5回twitter文学賞海外部門第1位作品。なにせ分量が凄いのでなかなか手を出なかったのですが、読み始めてしまえば止まらないのはわかっていましたさ…しかしよくこの内容で中国本国で発禁にならなかったなあと変な意味で感心。(ということは発禁になったのはもっと過激だってこと?ひやあ。)


亡き王女のためのパヴァーヌ (新しい韓国の文学12)

亡き王女のためのパヴァーヌ (新しい韓国の文学12)

「亡き王女のためのパヴァーヌ」:5月に読んだ短編集『カステラ』が強い印象を残した作者によるラブストーリー。私は恋愛小説があまり得意ではないのでどうかな?と思ってましたが、生きにくい世の中でもがきながら懸命に生きる二人(いや三人か)の切なさをごく自然に受け止めることができました。終盤の(韓流的?)怒涛の展開も効いた〜。


野良猫姫 (新しい韓国の文学)

野良猫姫 (新しい韓国の文学)

  • 作者: ファン・インスク(黄仁淑),藤井久子,鈴木千佳子,生田美保
  • 出版社/メーカー: クオン
  • 発売日: 2014/09/30
  • メディア: 単行本
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「野良猫姫」:『いま、世界で読まれている105冊 2013』で紹介されていたのを思い出して今回読んでみました。地域ネコを守りながら自らも野良猫のように身寄りなく、しかし猫好きの仲間たちに囲まれて暮らす若い女性・ファヨルの物語は、猫好きならずとも惹きこまれるはず。生きていく環境は厳しいけれど、読み終わってちょっと優しい気持ちになれるお話。
これら2冊を含んだ「新しい韓国の文学」シリーズはもう少し読んでみる予定。


淵の王

淵の王

「淵の王」:「うわああああ何これ怖い怖い怖いでも凄い!ホラーだめな私だけど(それでもってとんでもなく怖いけど)この語りは…イイ!」(twitterより転載)

元から舞城氏の作品はかなり陰惨な設定や展開だったりするんだけど、超絶トリックやらブッ飛びキャラの活躍とかでそういうエグさも後方に退いてしまう、みたいなところがあったように思う。
しかし今回はそういうトリッキーな要素が前面に出てこない分、真面目に怖い。私はホント怖い話が苦手なので、1話目でうわうわと思い、2話目でうわああんと泣きそうになり、3話目読むのもおっかなくて、でもラストの晴れやかさに救われた…という感じ。
そんなに怖いのいやなら読まなきゃいいじゃん、と言われそうですが、そこで読まずにおれないように後を引くのがこの小説全体を一貫する「語り」の特異さ。この語り手いったい何者?どういう立ち位置?気になって何度も読み返してしまう、そのくらいのインパクトがこの「語り」にはあります。既にネット上で色々と考察されているし、私なりの解釈はあるけれど、でも完全に納得しているわけでないのでまた読み返して怖い思いをする…うーむ恐怖の無限ループ…。
いやでもやっぱり面白いですマイジョー先生。ついていきますよこわいけど。
(「深夜百太郎」もじわじわ怖い…)



映画の方は台湾映画強化月間。きっかけは↓この辺:

台湾の歓び

台湾の歓び

認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾

認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾


数年前に台北観光に行った時から好感を持っていて、さらに我が愛車GIANTの製造国ということもあって、自分の中の台湾熱は結構高まっているのですが、なかなか再訪は難しい。映画はこれまでもボチボチは観ていたのですが、上記の2冊を読んでまとめ視聴実施。ドタバタ系はあまり好きじゃないのでしんみり系中心に。


「練習曲」:台湾好き&自転車好きなら外せない作品。少し耳の不自由な青年が自転車で台湾を一周する…という地味な内容ながら、台湾の自然と道々会う人々との交流がなんとも素晴らしい。主人公が本当に「好青年」なのがまた良い。


「九月に降る風」:ど直球の青春映画ですが、高校生各人の個性が分かりはじめてくると面白くなってきます。胸キュンの高校生時代(って、古い…)。


「午後3時の初恋」:ノスタルジックなファンタジー。ちょっと昔の少女マンガみたいな雰囲気で素敵。しかし台湾の女の子ってみんな可愛いなあ。


悲情城市」から25年(え!)、台湾も気鋭の若手監督がどんどん出てきているようで頼もしい限りであります。ちなみに以前観て印象に残ったのは:

海角七号/君想う、国境の南 [DVD]

海角七号/君想う、国境の南 [DVD]

台北に舞う雪 [DVD]

台北に舞う雪 [DVD]

言えない秘密 [DVD]

言えない秘密 [DVD]


そしてこれから観たいのは↓。今から楽しみです: