先月読んだ本から

年明け早々家人が風邪で寝込み、それもそろそろ回復するかなと思った頃に今度は私がインフルエンザに…というわけで今年の読書計画はしょっぱなから出遅れ感たっぷり。まあ気を取り直してがんばろー。


探偵ブロディの事件ファイル

探偵ブロディの事件ファイル

『探偵ブロディの事件ファイル』:ケイト・アトキンソンの「ちょっと不思議」系小説はあんまり好みじゃないんだけど、これは良い意味で筋の取っ散らかった感じが、謎解決に一直線!なミステリとは一味違って面白かった。シリーズ化されているそうで今後も期待。
イマジカBSでテレビドラマも放映するみたいですね。私は観れないけど…)


ベルリンに一人死す

ベルリンに一人死す

ベルリンに一人死す』:ドイツ本国での出版は1947年ながら、近年欧米各国を中心に再評価されている作品。まさか日本語版まで出るとは思ってなかったですが、かなりの大作なのでこうやって翻訳で読めるのはありがたい。しかも読み始めると緊張感みなぎる内容で一気読みでした。息子の戦死をきっかけにナチス批判を始めるという、あくまで庶民の感覚から導き出される些細で無謀な行動は結局不毛のようでありながら、実はじんわりと後世に影響を与えてくるのはこういう行動なのかな、と微かな希望を与えてくれます。ドイツでは何度か映像化されていますが、再映画化の動きもあるということ


古事記(現代語訳:池澤夏樹)』:ラインナップを見ただけで「うううこれは…ッ!」と唸らされた今回の河出書房の日本文学全集ですが、まずは御手本をお見せしましょう、と池澤氏自らの訳による「古事記」がリリース。刊行記念のシンポジウムでは現在翻訳中の皆さんがその苦しみを口々に語っておりましたが、この「古事記」が彼らにも一つの指標(「ああ、ここまで冒険してもいいのか」)として機能することは間違いないでしょう。池澤氏自身が序文できちんと解説していますが、非常に明確な方針で翻訳されていることもあって、読みやすく面白くしかも勉強になる内容でした。他の現代語訳もどうなるのか楽しみ!


現代世界の十大小説 (NHK出版新書)

現代世界の十大小説 (NHK出版新書)

先駆けて成功を収めた世界文学全集発刊に関するエピソードが↑の序章に書かれています。日本文学全集については河出の編集者に持ちかけられても「自分は適任じゃない」と断っていたそうですが、震災を経て心境に変化が生じたとか。


とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 (講談社文庫)

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起 (講談社文庫)

前述のシンポジウムで一番インパクトがあったのがこの方。これまでにも幾つか作品は読んでいたのですが、かなり赤裸々な主題を扱うので俗にいう「子宮でものを考える」タイプなら嫌だなあと思っていたのですが、実際にお目にかかるとなんとも豪快で率直で可愛らしくてすっかりファンになっちゃいましたね。巣鴨は自分にとって近しい場所ということもあって、これはとっても面白く読めました。


BBCのテレビドラマでは↓を鑑賞:

Quirke [DVD] [Import]

Quirke [DVD] [Import]

「病理医クワーク」公式サイト(AXNミステリー)
ベンジャミン・ブラック(=ジョン・バンヴィル)原作の映像化。いやもうクワーク役のガブリエル・バーンがカッコいいのなんの。おぢさん好きにはたまりません:

ダブリンで死んだ娘 (ランダムハウス講談社文庫 フ 10-1)

ダブリンで死んだ娘 (ランダムハウス講談社文庫 フ 10-1)

溺れる白鳥 (RHブックス・プラス)

溺れる白鳥 (RHブックス・プラス)

アイルランドの陰鬱な風景とガブリエル・バーンの憂いを帯びた表情が合いすぎている…他の俳優さんたちも皆アイルランド出身者で揃えたとか。さすがBBCは徹底してるなあ。個人的にはフィービの「だめんずうぉーかー」ぶりがとっても心配です。


さて、熱は下がったけど今週いっぱいは自宅謹慎令が出ているので、今のうちにたまった本を片づけるとしますか…。