先月読んだ本から

約半年ぶりに英語本("The Interview" by Patricia O'Reilly)を読んで、宿題を一つ済ませた気分。まあ宿題といっても自分で勝手にこしらえてるわけですが。


『コールド・スナップ』:「これ本当はマイジョーさんが直接書いてるんじゃないの?そうだとしても私は驚かないよ!圧倒されるのは前半の6編だけど、個人的には後半の4編が好き」(twitterより)
あまりにマイジョー感が強いので、比較のために『拳闘士の休息』(訳:岸本佐知子)もそのうち読んでみようと思いました。


マルガリータ (文春文庫)

マルガリータ (文春文庫)

マルガリータ』:9月に読んだ『クアトロ・ラガッツィ』補足として。
少年使節4名のうち千々石ミゲルは途中で棄教したのでその後の生涯について詳しい記録はあまり残っていない、ゆえに様々な解釈が可能、という訳でこの小説も一つの可能性としてアリかなとは思う。しかしこれではたまちゃんがかわいそうだ。


活版印刷人ドラードの生涯―リスボン→長崎 天正遣欧使節の活版印刷

活版印刷人ドラードの生涯―リスボン→長崎 天正遣欧使節の活版印刷

活版印刷人ドラードの生涯』:こちらも『クアトロ・ラガッツィ』補足。
日本で生まれながら多分ハーフ?でイエズス会に育てられ、少年使節のお世話係および欧州の活版印刷術を学ぶために航海に同行した青年ドラード。考えようによっては使節たち以上に数奇な運命でありながらあまり知られていないのはなんとも勿体ない!小説仕立てで(かなり著者の思い入れが入っているけれど)総じて読みやすかったが、もうちょっと学術的な内容でも良かったように思う。調べるほどにもっと色々なことを知りたくなる。


丹生都比売 梨木香歩作品集

丹生都比売 梨木香歩作品集

『丹生都比売 梨木香歩作品集』:児童文学風から奇譚ものまで、これまでの梨木作品のエッセンスが詰まっている短編集。選りすぐり、という感じで満足。


映画の方もいろいろと宿題消化:

しわ [DVD]

しわ [DVD]

『しわ』:『世界コミックスの想像力』(小野耕世)を読んでからずっと気になっていたマンガが原作のアニメ。老いを主題とした内容は厳しい実情を突きつけるが、アニメというメディアだからか生々しさは抑えられ、現実と幻想が区切れなく行き来する。恐ろしいのは老いそのものではなく、老いに対する社会の反応の方、という監督のインタヴュー動画での言葉が胸に刺さった。


あなたを抱きしめる日まで [DVD]

あなたを抱きしめる日まで [DVD]

あなたを抱きしめる日まで』:息子視点の原作はあまりに可哀相すぎるので、そのまま映画化するのは難しいと思ったのかな、母親視点による映画の方は、ジュディ・デンチの名演もあって軽みも備えた、これはこれで良い映画。(おばちゃんの厚顔振り力強さは世界共通ですな!)
でもやはりこれは原作と映画、両方を味わうべき。引き離されてから二人がそれぞれ歩んできた道のりを詳しく重層的に知るほど、その痛ましさが実感できると思うので。

あなたを抱きしめる日まで (集英社文庫)

あなたを抱きしめる日まで (集英社文庫)


ドイツ映画絡みでは、こんなものも:

ラッシュ/プライドと友情』:普段スピードものには興味が無いのですが、ダニエル・ブリュール君が主役級で出てると知っていそいそ観賞。あれでもなんかいつもと顔が違う…と思ったら実在の人物に似せるために義歯をしていたそうで。えっじゃあこれ実話なんだ、と驚くくらい無知な私でしたが、そんな私でものめりこむくらい面白かったのはさすがロン・ハワード監督、まとめ方と盛り上げ方が上手いこと。アレクサンドラ・マリア・ラーラちゃん(相変わらず美人!)も出ていてドイツ映画好きにも嬉しい内容でありました。

ダニエル・ブリュールへのインタヴュー(GQ Japan):http://gqjapan.jp/more/people/20140210/gqa-daniel-bruhl
ダニエル君経営のベルリンのタパスバー、行きたいな!


10月は「北斎展」にも行けて満足満足。展示の最後を飾るのが応為の作品でちょっと感動。
11月も宿題を粛々と自分で作り、自分でこなす…そんな月になりそうです。