「罪悪」(フェルディナント・フォン・シーラッハ)


図書館にて借出し:


罪悪

罪悪


基本的には前作『犯罪』同様だが、前作より一層ミニマルに研ぎ澄まされた印象を受けた一冊。
犯罪として法では裁かれても、果たしてそれが「罪」と呼べるのか。(あるいはその逆もまた然り)
無罪/有罪を判断する隙間に零れ落ちた何かを、著者はしかし、決して明記しない。
あえて言葉にしないことで逆に、読む側に普段意識しない善悪の観念が浮かび上がってくる。
…読み終わった後、かなりぞわぞわしました。


3作目は初の長編ということで、これまでの短編とはまた違った表現が必要となるでしょう。
どういう提示をしてくるか、今から楽しみです。