「ウルフ・ホール」(ヒラリー・マンテル)


図書館にて借出し:


ウルフ・ホール (上)

ウルフ・ホール (上)


ウルフ・ホール (下)

ウルフ・ホール (下)


ヘンリー8世とアン・ブーリンが巻き起こす一連のドタバタ歴史劇は数々の小説や映画で取り上げられて
いるので、この小説がブッカー賞を受賞した2009年当時は正直「また?」と興味があまり無かったのですが
最近になって観始めたTVドラマ「THE TUDORS〜背徳の王冠」↓にハマってしまったもので、放送後に
イソイソとこちらにも手を伸ばしました:


チューダーズ <ヘンリー8世 背徳の王冠> DVD-BOX1

チューダーズ <ヘンリー8世 背徳の王冠> DVD-BOX1

↑元々は主演のジョナサン・リース=マイヤーズ目当てでした(アイルランド出身俳優は無条件で贔屓じゃ)。
●TV公式サイト(AXNミステリー):http://mystery.co.jp/program/tudors/


しかし最近のヘンリー8世はイケメンだなあ(「ブーリン家の姉妹」でのエリック・バナもかっこ良かった)。
ちょっと前までは、ホルバインの肖像画で見られるメタボおやじ代表みたいなイメージだったのに。


図説 テューダー朝の歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

図説 テューダー朝の歴史 (ふくろうの本/世界の歴史)

傍らには参考書↑。これで随分助かりました。


小説の方は、一連の事件をトマス・クロムウェルの視点から描いています。このクロムウェルという
人物は良くトマス・モアと比較され、特に「高潔なモア」対「狡猾なクロムウェル」という図式で
語られるところを、ここでは神の国に執着するモアに対して、あくまで現世の市井の人々の幸福を
第一に考えて政治的駆け引きに腐心する、一人の賢明な男として捉えなおしているところが魅力です。
その意味で、塩野七生「わが友マキアヴェッリ」などを連想しました:


わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡 (塩野七生ルネサンス著作集)

わが友マキアヴェッリ―フィレンツェ存亡 (塩野七生ルネサンス著作集)

今は文庫だと3分冊。


読了後はわが友クロムウェル、とつい呼びかけたくなります。我儘な上司に振り回されながら懸命に
任務をこなすあたりはサラリーマンの悲哀とも通じるものがあるなあ(?)。けなげだよトマス…。


しかしこの小説に限らず、どの文献や映画に当たってもアン・ブーリンのどこがそんなに魅力的だったのか
どうも私には分かりません。まあ当時の資料自体が悪意のある表記しか残ってないのかもしれませんが、
美人でもないしプライドの高いヤな女!って印象が拭えません。あんた何様よ!って詰め寄ったら
「王妃様よ、勿論」とあっさり返されそうで、ああ怖い…。



五番目の王妃―いかにして宮廷に来りしか (ronso Roman)

五番目の王妃―いかにして宮廷に来りしか (ronso Roman)


6人の王妃のうち一番のお騒がせ者はもちろんアン・ブーリン先生ですが、他の王妃もみんな一癖あって
面白いなあと前述のドラマを観ていて感じました。というわけで次は↑を読んでみようと思うなり。


記憶術

記憶術

クロムウェルの素晴らしい記憶力は当時流行っていた記憶術に依るもの、という設定で思い出したのが↑。
私には使いこなせそうもないですが…。