「真昼の女」(ユリア・フランク)


図書館にて借出し:


真昼の女

真昼の女


2007年ドイツ文学賞受賞作。
2つの大戦という歴史の渦に巻き込まれながら生きてきた、ある女性の半生。


プロローグを読んだ時点で、これはもう幸せいっぱいな展開にはとてもなりそうもないと容易に
想像がつくのですが、それでもぐいぐい読み進めてしまうのは常に客観的な描写に徹しているのと
主人公が決して愚かしい女性ではないこと、これほど賢明な女性でもこういう時代の流れでは
自分で幸せを掴み取るのは非常に困難であることが、説得力を持って描かれているからかと
感じられます。「女の一生もの」にありがちな不幸自慢になっていないところが良いです。


第一次大戦前後の地方での暮らし、20年代ベルリンの退廃的・享楽的な雰囲気、ヴィルヘルムに
象徴されるナチスの台頭の様子など、当時の風俗描写の部分もとても楽しめました。
決して主人公に共感するタイプの作品ではないですが、それでも読み終わった後でもなんだか
心にひっかかる、そんな小説でした。


バーグラーズ 最後の賭け -ヘア無修正版- [DVD]

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20年代ベルリンの部分を読んでいて連想したのが↑の映画。こういう浮ついた雰囲気が
当時はあったのね…と観たときはちょっと驚きました。また観直してみようかな…
(しかし「ヘア無修正版」って、そんなヤバい場面あったかしらん?覚えてない…)