「ヴァレンタインズ」(オラフ・オラフソン)


図書館にて借出し:


ヴァレンタインズ (エクス・リブリス)

ヴァレンタインズ (エクス・リブリス)


標題は「恋人たち」を意味するもの。その甘い響きとは裏腹に、簡潔ながら苦い味わいの短編集。


主人公達は、そのほとんどが長年相手と連れ添っている状況。それだけの間には、やはりちょっとした
嘘や秘密、諦めや失望がお互いの内に生じてくる。
それでも通常ならそのままそっとやり過ごしてしまえるであろう些細な傷が、ある瞬間に表面化して
決定的な亀裂を生む…いやはや怖い怖い。読みながら「ああーそこでそんなことを言ってしまっては!」
と何度も叫びそうになりました。でもありそうなんですよね、こういう過ちって…。


人間心理のドロッとした部分をあくまで冷静に(冷酷なほどに)描写するという点で、ベルイマンの作品を
思い出しました。昨年からNHKで放映されたのをまとめて観たんですが、これも私にはかなり怖かった…:


ある結婚の風景 オリジナル版 【HDマスター】 DVD

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全6話のTVドラマ。本国では放映後に離婚者続出だったとか。うーん分かるわそれ…。
1話観終わるごとに鬱になるけど、でもついつい気になって続きを観ちゃう。


秋のソナタ [DVD]

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こちらは母子の長年の確執。こんな家庭じゃなくて良かった。


この本のほうが短編でさらっと終わっている分とっつきやすいかも。
熟年夫婦は、自分たちが試されている気持ちになるかもしれないので御注意下さい。