「魔王の愛」(宮内勝典)


図書館にて借出し:


魔王の愛

魔王の愛


著者の作品はかなり昔に一度読んで、私とはあまり相性が良くないなあ…とそれ以来遠慮していたのですが、
今回月刊「みすず」の読書アンケート号で複数の方が挙げてらしたので、読んでみる気になりました。


半ば聖人化されているガンジーの実像を、晩年のスキャンダルも踏まえつつ著者独自の視点から捉え直すという趣向で、
ひょっとして実体は色魔ガンジー?なんて馬鹿なことを考えつつ読んだわけですが、うーん「魔王」というネーミングは
ショック療法としてもちょっとインパクト強すぎでは。彼も清濁併せ呑む普通の人間でした、くらいの印象に留まりました。
それ以前にガンジーの功績について、イメージ先行で具体的なことを何も知らなかった自分に愕然としました…。


ガンジーを「Xさん」と呼びかけ、絶えず空想の会話を楽しむ著者の姿勢は、正に小説ならではの自由さを
感じさせました。でもこういう脳内会話って、結局は自分自身と会話しているってことなんですよね…。
これはこれで面白かったけど、逆にカチッとした伝記を読んでみたくなりました。



TN君の伝記 (福音館文庫 ノンフィクション)

TN君の伝記 (福音館文庫 ノンフィクション)

歴史上の著名人をあえて匿名にする、と手法で思い出したのが↑。今なら「CN君」の方がしっくりくる?