「名声」(ダニエル・ケールマン)


図書館にて借出し:


名声

名声


今や現代ドイツ文学を語るに欠かせない存在となっているケールマンの新作。原書が出たのが2009年だから
日本にしては随分と素早い翻訳で感心感心。


帯に「『ケータイ』をめぐる9つの物語」とあるので、なんだか軽そうというか頭悪そう…な話なのかという
先入観がありましたが、実際に読んでみれば飄々とした軽みはもちろんあるけれど、さすがにケールマン、
小粋に賢くきっちりまとめました、という感じ。程よくメタで、程よく不条理なところも現代っ子風。


あとがきにあるように「コミュニケーションのテクノロジー」がテーマの一つになっているので、ケータイだけ
ではなくメールやネットも日常的に使われています。こういうテーマって既にありがち…のはずなんだけど、
設定の上手さでさらっと読ませてしまうところがやっぱり並じゃない。
力作!とか傑作!ではないけれど、さくさく読めて満足度も高めのお話でした。


ところで最近ケールマン作品は次々と映画化の話が聞こえてきます。
「僕とカミンスキー」が「グッバイ・レーニン!」の監督&主演コンビで映画化というのは結構前から
言われていますが(でもIMDb見たらTV映画扱いですね…日本で観れるようになるかなあ)、この「名声」も映画化、そして
「世界の測量」はなんと3D映画らしい(監督Detlev Buckなんだ!本人は出演しないのかな、好きな役者さんです)。
さて実際に陽の目を見るのはどれだけあるのか…?