「フードジョッキー その理論と実践」(行友太郎・東琢磨:編)


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フードジョッキー―その理論と実践

フードジョッキー―その理論と実践

 本書を作っているあいだにも、より頻繁に私たちは料理を作り、食い、そして片付けている。怒涛のように食い呑み、
言葉と(いう)排泄物を放り出している。ゴミは最低限にしようとしながらもゴミを生み出している。
 食らうことは、決して美しくも正しくもない。でも、楽しい。生きるために食うのではなく、食うために生きるから、
楽しいのだろう。生きる事も、決して美しくも正しくもないのだ。食うために生きることを全面的に肯定することで、
ひょっとすると私たちは少しでも楽になるのではないか。いろいろな困難はあるにしろ。(p.7「はじめに」より)


魅力的なレシピと膨大な与太話の中でふと浮かび上がるのは、「料理を食べる>作らせる」あるいは逆に
「料理を提供する>金を払って戴く」といった無意識的な上下関係を取り払い、作るのも供するのも食べるのも
片付けるのも全て混沌の渦の中に巻き込んで一緒に楽しまないか?という過激なまでの平等への問いかけ。それが
出版元の広島という地で平和運動の思想とも密接に絡み合ってくるのがまた興味深い内容でした。


ものぐさで不器用な私はこの中では多分「セレブ」視されて最後にぼったくられる側に回りそうです。
したがって全面的に肯定は出来ませんが、何度も読み返したくなる刺激的な一冊です。


書影が自動リンクされないので独自に貼っておきます。この装丁がある意味購入の決め手になったところもあるので。
デザインはやはり広島出身の米丸ゆみさんというイラストレーター:



●公式サイト:http://orange-speaker.com/