「野生の探偵たち」(ロベルト・ボラーニョ)


図書館にて借出し:


野生の探偵たち〈上〉 (エクス・リブリス)

野生の探偵たち〈上〉 (エクス・リブリス)


野生の探偵たち〈下〉 (エクス・リブリス)

野生の探偵たち〈下〉 (エクス・リブリス)


昨年出た「通話」も良かったボラーニョの長編。待ってました!


題名とカバー挿画(ちょっと不気味)から、読む前はノアールなミステリ?と想像していましたが全然違いました。
1970年代、メキシコの若き詩人たちの無謀な彷徨は書き方によっては相当こっ恥ずかしい内容になっていたでしょうが、
次から次へと繰り出される驚くべきエピソードに、気がつけばどどーっと遠くまで心地よく流されてしまった感じ。


この捉えどころの無さは好きだけどちゃんとオチってつくのかな?まあずっと読んでて楽しいから別にいいんだけど…と
思ってましたが、膨大な人数の証言の前後に少年の日記を置くことで小説としてのメリハリも確保しているとことが
上手いと感じました。もっとラテンアメリカの文壇というか詩壇について詳しく知っていれば、虚実の入り乱れ振りが
ハッキリ分かって一層楽しめただろうに、と思うと残念です。それでも圧倒的な筆力を体感できただけでも読む価値は
あったと言えます。世界はまだまだ未知のものが隠されているなあ…としみじみ感じ入りました。