「螺旋」(サンティアーゴ・パハーレス)


図書館にて借出し:


螺旋

螺旋


帯の謳い文句が「絶妙な語り口/緻密なプロット/感動のラスト」と来たものだから、これが本当なら大したものだ!と
思って読みましたが、うーん確かに結構な分量を一気読みさせるだけの面白さは充分あるんですが、私の期待とは違いました。
なんたって題名が「螺旋」ですから、複数の筋が絡み合って最後は作品の(そして読者の)DNAまで変えてしまうような
めくるめく読書体験がないと…と思うのはちょっと期待しすぎ?


大ベストセラー「螺旋」シリーズの続編を入手すべく正体不明の作家を探しに無名の村に赴いた編集者のダメダメ探偵ぶりと
麻薬中毒から立ち直ろうとする中で盗んだ本「螺旋」の面白さに惹かれていく都会の青年の二つの筋が交互に語られていき、
最後は感動的とは言いすぎながらも清々しい終わり方です。問題はこの作中作の「螺旋」があんまり魅力的に思えないというか、
この部分を例えば「ハリポタ」シリーズに置換えても成立しちゃう話になっているということでしょう。作中作「螺旋」も
SFファンタジーぽい設定だしね!


とは言ってもエンタメとしては充分すぎるくらい面白い作品でした。特に麻薬中毒者の描写が真に迫っていて、筆力の確かさを
感じさせました。もっとリアリズムに沿った話でも結構読ませてくれそうです。



らせん - (角川ホラー文庫)

らせん - (角川ホラー文庫)

そういえばこんな螺旋もありました…皆さん覚えてますか?
私は「リング」「らせん」はすごーくハマりましたが、「ループ」で一気に白けちゃったクチです。
映像は怖くて未だに観てません。