「死者の軍隊の将軍」(イスマイル・カダレ)


図書館にて借出し:


死者の軍隊の将軍 (東欧の想像力)

死者の軍隊の将軍 (東欧の想像力)


第二次世界大戦から約二十年後。異国(多分イタリア)の将軍と司祭が戦死した兵士達の遺体を掘り起こして母国に送り返すために
アルバニアに派遣される。昔の敵地で乏しい情報を元にしての作業は、予想通り困難を極めていく…。


東欧の文学はともすれば凄まじい歪みを持って襲い掛かってくるものが多く、途中で挫折してしまう事も多いのですが、この作品は
幻想の一歩手前で踏みとどまったギリギリのリアリズムで描かれているので読みやすく、そして素晴らしかったです。原書は1963年と
いうことですが、今まで日本語で読めなかったのはなんと勿体ない!と感じてしまいました。戦争で死者を抱えた事のある国の人間なら
誰もがこの徒労感を共有できるはずです。


著者はアルバニア人ですが、主な登場人物を外国人にして、他者の視線からアルバニア人気質を描いているところが上手いと思いました。
かなり昔にイタリアで映画化されたそうですが、M・マストロヤンニ、A・エーメ、M・ピコリと超豪華な配役。出来栄えはともかく
一度観てみたいものです。



「ニセドイツ」つながりで、現在これも読書中…。