「シルフ警視と宇宙の謎」(ユーリ・ツェー)


図書館にて借出し:


シルフ警視と宇宙の謎 (ハヤカワepiブック・プラネット)

シルフ警視と宇宙の謎 (ハヤカワepiブック・プラネット)


一応ドイツ文学なので読んでみました。なんだかハリポタ・シリーズみたいな邦題ですね。


物理学における「多世界解釈」を追求しようとする物理学者・ゼバスティアンが巻き込まれた殺人事件を
脳腫瘍で死際間近のシルフ警視が、その独特の死生観で解決しようとする、と傍目には面白そうな筋書き。
しかしミステリで「多世界解釈」を肯定してしまうと、当然ながらミステリとして成立しなくなってしまう
(この世界で殺人を犯しても、別の世界では被害者は生きているから私は無罪だ!という論法)ので、必然的に
SFに昇華するか、バカミスとして落とさなければいけません。この小説もまたしかり。
部分的に面白い箇所はありましたが、全体としてはあんまり好みじゃなかったです。


それよりゼバスティアンと親友にしてライバルのオスカーとの関係が、あまりに「やおい」っぽくて驚きました。
この手のアヤしい方面を書き進めた方が才能あったりして…名前も「百合」だけに…(って、つまらん…)。