「長寿大国の虚構」(出井康博)


図書館にて借出し:


長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う

長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う


副題にもあるように、昨年より日本政府が始めた「外国人介護士」受け入れの実態を問うルポルタージュです。
ここに書かれていることが真実ならば、いやはや呆れるというか情けないというか…人材の受け手側と送り手側の
思惑がこれだけ食い違っていたら上手くいくものもいきっこない、と悲観的になってしまいます。


特に日本政府側の1)介護市場は人材不足ではなく、今回の受け入れはあくまで国際交流の一環である、という見解、
2)外国人労働者は短期の「出稼ぎ」で帰ってもらう、長期定住の「移民」として受け入れる覚悟は無いという姿勢
には全く賛同できません。


もちろん安易な受け入れで介護市場の環境が更に悪化することは避けるべきですが、それにしても主導者の手配は
あまりにもお粗末。それで苦しむのは実際に現場で働いている人たち、そして介護を受けねばいけない人たちなのに。


最後のインドネシア人の青年のスピーチには胸がつまります。でもこんな個人の努力だけに期待していてはいけない、
日本人と外国人が協力して、より良い道を探っていかなければならないと痛感しました。