「東京骨灰紀行」(小沢信男)


図書館にて借出し:


東京骨灰紀行

東京骨灰紀行


●書評(長谷正人氏、「KINOKUNIYA 書評空間」)
http://booklog.kinokuniya.co.jp/hase/archives/2009/10/post_6.html


↑の書評を読んで俄然興味を持ちました。あまりにざっくばらんな語り口調の文章に最初は驚きましたが、慣れてくると
これはこれで味わいがあります。


明暦の大火から始まって、関東大震災東京大空襲のように一度に大勢の死者を出した出来事から、罪人や女郎のように
遺体の引き取り手もない人々の鎮魂まで、著者は様々な形で残されている死の記録を町中から拾い上げていきます。
決して隠されているわけではないのに、ひっそりと佇んでほとんどの人は特に見向きもしないだろう碑に刻まれている
歴史の厚みに少々身震いします。


上記書評にもあるように、地下鉄サリン事件東京大空襲の因縁を顕した「つくづく築地」の章はとりわけ印象的でした。
これからの街歩きに違った視点を与えてくれそうな一冊です。