「ドーン」(平野啓一郎)


図書館にて借出し:


ドーン (100周年書き下ろし)

ドーン (100周年書き下ろし)


近未来設定と聞いていたので、「ちゅどーん」とか「どっかーん!」とか「おーいでてこーい」みたいな題名の
不条理SFか、(カバー写真からの連想で)モノリスが突然どーんと落ちてくるような話だと思ってました……
「dawn(夜明け)」でしたか…(反省)。


設定は近未来ですが、抱えている問題意識はまさしく現代のもの。極めて政治的・ハイテクな分野から心理学、更には
一夜のアヤマチみたいな俗っぽいところまで幅広く捉えて、しかも全体のバランスを崩してないところはやっぱり頭が良い。
主人公の明日人がヘタレすぎる気もしましたが、そんな一般人の私的な行動も政治的な判断材料になってしまう、という辺りが
書きたくてわざとそうしてるんでしょう…個人的にはもっとハードな部分を多く読みたかったです。


読んでガンガン盛り上がる、というタイプの小説ではないですが、そこかしこに様々なレベルでの問いが投げかけられていて
それを拾い集めていくのが面白かったです。ノンフィクション好きの人の方が楽しめるかもしれません。