「累犯障害者」(山本譲司)


図書館にて借出し:


累犯障害者 (新潮文庫)

累犯障害者 (新潮文庫)


読み終わってつくづく考えこんでしまいました。
普通が一番と常々思ってはいるけれど、その「普通」から少しでも外れてしまうと、あっという間に社会からはじき出されて
全く顧みられないこの現状は怖すぎます。しかも本書で挙げられている例は、軽度の知的障害といった本人の努力云々では
どうにもならないことで、周囲の理解や協力がなければ障害者手帳も貰えない、貰っても暴力団のカモにされて良いように
利用され、罪を犯して刑務所に入る事でようやく生活を確保できる…そんな堂々巡りを繰り返している人がこれほど多いとは。


文庫版あとがきで、少しずつながら事態が改善に向かっていると報告されている事が唯一の救いでした。
障害者といえども犯した罪はもちろん償わねばいけない、しかし罪を犯すまでの実態を把握し、同様の犯罪が繰り返されない
体制作りが必要だと痛感しました。この本の前後に出版された「獄窓記」(正・続)も読んでみようと思います。



獄窓記 (新潮文庫)

獄窓記 (新潮文庫)


続 獄窓記

続 獄窓記