「黒のトイフェル」(フランク・シェッツィング)


古本にて購入:


黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)

黒のトイフェル 上 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-4)

黒のトイフェル 下 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-5)

黒のトイフェル 下 (ハヤカワ文庫 NV シ 25-5)


ケルンといえば大聖堂。その建設中に起こった建築監督の転落死をきっかけに隠されていた陰謀が解き明かされていく、という
歴史ミステリーをケルン生まれのイケメン売れっ子作家、シェッツィングさんがデビュー作として書いた作品。


前半は陰謀の意図があまりにも分かりにくくて読みづらかったけれど、へらず口の司祭兼学者・ヤスパーが登場する中盤から
登場人物の行動の理由付けが明確になって面白くなってきました。著者もきっとヤスパーみたいに知識欲&好奇心&行動力旺盛な
タイプなんでしょうな、と勝手に想像してみました。


ケン・フォレットの「大聖堂」のような陰謀陰謀また陰謀!の年代記とは違い、正味5日間の出来事を追う体裁なので
それほどスケールの大きさは感じませんでしたが、その代わりケルンという実在の地を生かした強みが感じられました。
建築監督の転落死も実際にあった事件らしいので、そういう歴史ネタを元々知ってる人ならもっと楽しめるのかもしれません。



ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)

ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)

それにしても大きい…。