「アメリカモデルの終焉」(冷泉彰彦)


図書館にて借出し:


アメリカモデルの終焉

アメリカモデルの終焉

昨年読んだ新書「民主党のアメリカ 共和党のアメリカ (日経プレミアシリーズ)」が非常に面白くてかつ有益だったので
この新刊も読んでみたのですが、これまた読み応えのある本でした。


元々の日本の企業体質にアメリカ型の「成果主義」を安易に接ぎ木したことによって生じた歪みが、今回の金融危機で顕在化し
新たな見直しが必要とされている…と簡単にまとめてしまうと他にも似たような本は沢山ありそうな感じになってしまいますが、
著者の論調は丁寧かつ非常に具体的で説得力があります。日本の残業問題・雇用問題を論じた2−3章あたりは、馬車馬のように
働かされていた会社勤め時代を思い出して「そうだもっと言うたれ言うたれ!」と読むほうも熱が入ってしまいました。
私が会社勤めを辞めてから10年近くたってますが、労働環境は更に悪化している模様…読んでいてつらいです。


最後の教育改革案は、現状を考えるとかなり大胆ですが耳を傾ける価値があると思います。
「大学では実学を教えて職業人を作れ」という提言のもとに文学部の存在がスパッと切り離されているのが却って清々しい?
どんなに考えても文学が好きで止められない人だけが文学部に入れば良い、という割切りが必要な時代が来ているのでしょう。
むしろ私には商学/法学/経営学部での知識が実社会で活用されない/できるレベルに無いということの方が問題のように
思えます。うーんじゃあこの学部に入った人は大学で何をしているの?部外者にはその辺が良く分からないのですが…。



「オバマ大統領の就任演説を観ながら 冷泉彰彦さんに、なにかと訊く。」(ほぼ日刊イトイ新聞)
ペンネームだったのか…。