「震えるスパイ」(ウィリアム・ボイド)


図書館にて借出し:


震えるスパイ (ハヤカワ文庫NV)

震えるスパイ (ハヤカワ文庫NV)


2006年のコスタ賞(旧・ウィットブレッド賞)最優秀長編賞受賞作。この賞、以前はブッカー賞と守備範囲がダブっていた気が
したんですが、改称してからグッとエンタメ寄りになった感じがします。これも邦題通り本格的なスパイ小説。


自分の母親が実は第二次大戦中スパイだった!今まで聞かされていた過去は全部嘘だった!と分かって驚く娘のルース。
そんなルースのドタバタした日常と、母親サリー(エヴァ)がスパイ時代を振り返った手記が交互に組み合わされた構成。


手記の内容自体は合衆国を参戦させようと暗躍する英国側の陰謀が描かれていてなかなか興味深かったけど、
普通素人はこういう手記を三人称では書けないでしょ…お母さん冷静すぎます。ちょっと書き手側の作為を感じてしまいました。
むしろ頭は良いのについついゴタゴタを背負い込んでしまうシングルマザーのルースの日常の方が私には面白かったです。
この辺は個人の好みが出そう。ただ、元カレの弟の出現が母親の過去と絡んでくるのか?と期待したのに肩透かしで残念でした。