「TOKYO 0円ハウス0円生活」(坂口恭平)


図書館にて借出し:


TOKYO 0円ハウス0円生活

TOKYO 0円ハウス0円生活



ホームレス関連の本は幾つか読んだ事があるけれど、本書は路上生活の達人「鈴木さん」が独自の工夫で
構築した「家」を建築学的視点から捉え、大都市の中で正に自分の身の丈に合った住処を(更には生活を)
自らの手で作り上げていく喜びを謳っている点で異彩を放っています。もはやホームレスという言葉は
そぐわない、彼らの「家」の方が柔軟性と創造力にあふれる本来のホームではないか、という問いかけが
魅力的。


後半の記述によると著者の建築に対する興味は子供時代に誰もが作った「秘密基地」みたいなところから
発しているようで、それが今では現代アートのパフォーマンスみたいな活動に発展しているのが面白いと
いうか今風だなあというか。
しかし本書の主役はあくまで鈴木さんで、著者はただただ驚いちゃっているだけのような書き方です。
もうちょっと分析的な内容が後日出てくることを期待しています。


しかし鈴木さん、こんなに裏ワザを暴露しちゃったら商売敵が増えてこれからタイヘンなんじゃないだろうか
と心配にもなるんですが…大丈夫?


著者のサイトを覗いたらミルハウザー「マーティン・ドレスラーの夢」のホテルを視覚化したイラストなんかもあって、
やっぱりアンテナの張り方が面白いなあと思いました。あんまり現代美術っぽくならないで、あくまで
彼なりの視点で建築にこだわってほしいです。


坂口恭平サイト「0円ハウス」




段ボールハウスで見る夢―新宿ホームレス物語

段ボールハウスで見る夢―新宿ホームレス物語


昔読んだ本。こちらは真面目なレポルタージュですが、段ボールハウスの構造についても触れられていました。