「刺青とヌードの美術史」(宮下規久朗)


図書館にて借出し:



以前「食べる西洋美術史」を読んだときに、専門分野がイタリア美術史であるのにもかかわらず日本における西洋近代美術の
受容の流れも視野に入れた考察まで含まれているのが大変面白いと感じた。美術史に限らず歴史関連の考察はともすれば
西洋史と日本史(もしくは東洋史)に分裂してしまう傾向が未だに強い中で、この視野の広さは強みだな、と思った。


本書は正にその近代日本が西洋美術の一つの定型である「ヌード」をいかに受容していき、その中で日本古来の裸体表現が
どのように変容・喪失していったかが丹念に書かれている。特に生人形と刺青に関しては私の知らないことが多く、もっと
詳しく知りたいと興味がかきられたてた。


なにせ図案がその手のものばかりなので電車の中で読むのはちと恥ずかしかったですが…でも著者の今後の活動にはこれからも
要注目!であります。