「ロシア 闇と魂の国家」(亀山郁夫+佐藤優)
わたくし的世界では今もっともトレンディなお二人による対談。というわけで久しぶりに新書を買いました:
- 作者: 亀山郁夫,佐藤優
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/04/17
- メディア: 新書
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いやあ濃い…濃ゆいわ……。なんか絞ったらボタボタとロシア汁が滴り落ちてきそうな一冊。
新書らしく現代情勢を解説、みたいな内容かと思いきや、ドストエフスキーとキリスト教を中心に
ロシア人の精神的基盤について語り合うその中身の熱くて深いこと。ついていける人がどれだけいるのやら?
私も正直きちんと理解した自信はない。でも分からなくても何度も読み返してみたくなる、強烈な魅力がある。
お二人とも根っこの部分はかなりのロマンチストなのだと思うけれど、文学者と元外務事務官(+神学者)と
いうお互いの立場の違いが、上手い具合に機能して話を大きく回している。
プーチンとスターリン、ヒューマニズムとスターリニズム、「ケノーシス(謙譲、自己犠牲)」、
「ユロージヴイ(聖痴愚)」、タルコフスキー映画、アジア性とヨーロッパ性などなどホント盛り沢山の内容。
私の魂の泉にもじんわりロシア汁が浸透してまいりました!
私は一時期ミラン・クンデラに凝っていたことがあって、ご存知の通りクンデラはドストエフスキーを
ロシア的なもの(「魂の異常発達」)の代表として激しく攻撃していたので、最近のドストエフスキー・
ブームに対してそのへん皆さんどうなのよ?とちょっと割り切れない思いがあったのだが、本書の中で
少しだがその点に触れられていて、ちょっと気持ちが整理できた気がする。
「カラマーゾフ」、そろそろ再読してみようかな。
●「自壊する帝国」(佐藤優)感想:http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20080111/1200018127
●TV番組「悲劇のロシア」(亀山郁夫)感想:http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20080225
多少なりとも予習しといて良かった…でなきゃまるっきり歯が立たない。