「ファラゴ」(ヤン・アペリ)


図書館にて借出し。「高校生が選ぶゴンクール賞」2003年の受賞作:


ファラゴ (Modern&Classic)

ファラゴ (Modern&Classic)


ドイツ語版(2005)が「Das zufällige Leben des Homer Idlewilde(ホーマー・アイドルワイルドの
予期せぬ人生)」というタイトルだったので、じゃあこのホーマー君も「サイダー・ハウス・ルール」
のホーマー同様、語り部としての宿命を担った主人公なのかなあ…なんてボンヤリ考えていた時期が
ありました。読んでみると、その予想は正しいものでした。(まあ当然とも言えますが…)


舞台はアメリカ西海岸の架空の村・ファラゴ。といってもあまり現実味のない、あくまでファンタジー
してのアメリカ。時代もベトナム戦争とか出てくるけど、もうちょっと昔の雰囲気。
主人公のホーマー君は村を放浪する野生児的存在で、どことなくハックルベリー・フィンを連想させるけど、
違うのは彼をきちんと理解して成長を助けてくれる大人(仲間)たちが居ること。しばしば助言を求める
ファウストーなんてスナフキンみたいに悟った感があってカッコいい。するとここはむしろムーミン谷かしらん。


ホーマーは村の人たちとトンでもないことも随分やらかすけれど、様々な経験を一つの物語として
捉え直すことで自分の人生を自覚し、そこから更に前に進むことを学んでいきます。ノーテンキではない
素直なポジティブさが好ましい。こういう本を高校生が選んでくれると何だか嬉しい気持ちになれます。




サイダーハウス・ルール〈上〉 (文春文庫)

サイダーハウス・ルール〈上〉 (文春文庫)

サイダーハウス・ルール〈下〉 (文春文庫)

サイダーハウス・ルール〈下〉 (文春文庫)

こっちのホーマー君も好き。