「楽園への道」(マリオ・バルガス=リョサ)


図書館より借出し。話題の文学全集、第1回配本の「オン・ザ・ロード」は予約待ちで、しかも全然順番が
廻って来そうにないのに第2回配本のこちらはあっさり手元へ。あれ?
みんなー、何もそんな真面目に一から読まなくても良いんだよ?


楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)

楽園への道 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-2)


19世紀半ば、女性と労働者の権利のために過激なまでの論理で政治活動を遂行する女性、フローラ。
約50年後、世紀の変わり目に今までの生活を捨てタヒチで絵画の創作に励むフローラの孫、ポール・ゴーギャン
情熱的すぎて傍目には常軌を逸しているように思われる、そんな二人の最期の日々が、交互に語られる。


ぐいぐいと惹き込まれる物語でした!
とにかく主人公の2人がどちらも強烈(フローラなんて渾名が「怒りんぼ夫人」)で、周囲になんと言われようと
妥協せずに自らの道を進みとおそうとする、その力強さに読む側もついつい引き寄せられてしまいました。
奇数章がフローラ、偶数章がゴーギャンの物語で、それぞれ現在進行の話に過去の出来事の回想が組み込まれて
いますが、決してややこしくはなく、むしろ変化に富んでいて飽きさせることがない構成になっています。
なによりこの2人に愛おしく語りかけるような、著者の優しい語り口が素晴らしい。


祖母と孫とはいえ2人に直接の接点は無いのですが、その無謀さがやっぱり血筋?
フローラの父がペルーの上流階級出身で、彼女もゴーギャンも夢を抱いてペルーに一時滞在していた、そんな
経緯が著者の関心を引いたのだとか。特にフローラの人生は、知られていないという事もあるのでしょうが
非常に大胆で波乱万丈。ちょっと映画で観てみたいと思いました。