「「結婚式教会」の誕生」(五十嵐太郎)


図書館にて借出し:


「結婚式教会」の誕生

「結婚式教会」の誕生


もともと建築に興味を持つきっかけとなったのが「東京現代建築ほめ殺し」系の、ポストモダンが行き過ぎて
キッチュな方向に向かいつつある現代建築をネタにした本を読んだことだったこともあって、本書のテーマは
正に私のツボ。題名を聞いただけで思わず飛びつきました。


しかも自分の結婚式を「そんなのめんどくさ!」と、相方が既に海外に居たことを理由にオミットしたくらい
結婚式という儀式に全く幻想を持てない性格なので、純粋に他人様の行事と心も軽くゲラゲラ笑って読みました。
しかし実際にこういう「教会」で挙げた人は複雑な心境になるかも(って、そういう人がこの本を手に取るとは
思わないけど…)。


キリスト教信者数は横ばいなのに、何故か教会だけは着実に増加し続ける日本。その理由は「教会で結婚式」に
憧れる花嫁達のせい。ブライダル産業がこぞって建設する結婚式専用教会を通じて見えてくる日本人の宗教観、
結婚(式)観、西洋観、建築様式に対するこだわり(とその欠如)について考察したもの。
専門知識を駆使した分析でも堅苦しい内容ではなく、大変面白く読めました。建築に興味のない人も、
こういう本から始めたら、現代建築がいかに時代を映す鏡になっているのか良く分かるんじゃないでしょうか。


それにしてもやっぱり名古屋を代表する東海地方の豪華結婚式嗜好はすんばらしい。思わず私も「教会」詣でを
してみたくなる。マリエール(昔の平安閣)がプロデュースする会場なんてもう日本ぢゃありません。


マリエール豊橋マリエール岡崎 /マリエール山手



東京現代建築ほめ殺し

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京都現代建築ほめ殺し

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偽装するニッポン―公共施設のディズニーランダゼイション

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この辺とっても好きだったので、改訂して最新版を出して欲しい!



ヨーロッパものしり紀行―建築・美術工芸編 (新潮文庫)

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ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)

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