「The Discovery of Heaven(天国の発見)」(2001)
レンタルでは見つけられなくて、でもやっぱり観たーい!とDVDを購入して鑑賞(英語音声・独語字幕):
●原作感想:http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20070704
●映画データ(IMDb):http://www.imdb.com/title/tt0251052/
原作を読んだ者として、映画化に際して気になるのは
1)後半の大風呂敷がどのくらいのスケールで忠実に映像化されているか?
も大切ですが、それよりなにより
2)果たしてクインテンはどのくらい美青年か?
という辺りではないかと思われます。
しかし2)に関しては既にDVDジャケットを見た時点で「うーん、少なくとも私の好みぢゃない…」と
あきらめ状態だったので関心はもっぱら1)の方向へ。いや、本読みとしては正しい姿勢ですね。
全部で2時間強とはいえ元々が大作なのでかなり省略した感は拭えませんでしたが、その分スピード感が増して
よりエンタメっぽい仕上がりになっていました。なによりオノ&マックスのコンビはイメージにぴったりで、
特にオノ役は「えー?スティーブン・フライって、ちょっとそれは違うんじゃ?」と思っていたのに、
観たあとではしっかり刷り込まれちゃいましたよ…これが名優というものなんでしょう。
後半は意外とあっさり。読む分には楽しい薀蓄も、台詞で説明されたらシンドイもんね…その代わり建築や、
舞台となった都市や、あと夢の仕掛けなんかが視覚化されて分かりやすく感じられました。
まあ全体としては楽しかったし、色々と気づかされたことも多かったので、そのうちもう一度読み直そうと計画中。
でも時間が…。
ところで改めて検索してみると、実はこれ、2002年の大阪ヨーロッパ映画祭で「天使の企て」なる邦題で上映されていたのでした。
しかし一般公開には至らなかった模様。大阪ヨーロッパ映画祭ってセレクションが良いなあと
毎年感心しているのですが、やっぱりこの手のものは儲からないのかしらん。
原作の翻訳も出たんだし、せめてDVDくらい出して欲しいものです。
作者のハリー・ムリシュは今年80歳ということで、先日たまたま雑誌で関連記事を読んだのですが、
オランダ人にとって彼という存在は「最も有名なオランダ人作家、しかし最も愛されているとは言い難い」、
「にもかかわらず『天国の発見』を最高の小説として挙げるオランダ人も多い」、という、
憎たらしいけど無視できない複雑な感情を国民に投げかける作家のようです。
耳の痛いことも結構ズバズバ言っちゃいそうな作風だもんなー。
本人は「オランダ人はユーモアのセンスが無いのが問題だよ」なんてサラッと流してましたが。
うーん、やっぱり他の作品もチェックしたい!
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