「Toast」(Nigel Slater)
著者のナイジェル・スレイターはイギリスの有名シェフ兼フードライター。
アイルランドで書店の店頭に並ぶ彼の新刊を眺めているうちに「そういえば以前この人のエッセイを
薦められたことがあったな…」と思い出して購入:
Toast: The Story of a Boy's Hunger (Stranger Than!)
- 作者: Nigel Slater
- 出版社/メーカー: HarperPerennial
- 発売日: 2007/02/05
- メディア: ペーパーバック
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「自分のためにトーストを焼いてくれる人を嫌いにはなれない
(It is impossible not to love someone who makes toast for you)」
…料理が好きでも上手でもなくて、いつも必ず何か焦がしていた母親の、それでも精一杯の愛情がこめられた料理。
普段は厳格だけど甘いものを食べるとフッと気を緩ませる父親。そんな両親に囲まれた9歳の少年。
平凡だけど台所と同様にあたたかい家庭。
しかし母親の病気と死によって少年の周囲は大きく変わっていく。
しばらく続いた父親との試行錯誤連続の食卓。その後やって来た新しい母親のつくる料理は素晴らしく、
しかし本人はなんともよそよそしくて家にいるのがつらい。15歳になった少年は料理学校とバイト先の
ホテルレストランに自分の生きがいを見出す…。
食べ物にまつわるエピソードを中心とした、著者の泣き笑い成長物語。
一編一編が短いコラムになっていてとても読みやすい。出てくる食べ物はみな庶民的で、
缶詰でも駄菓子でも良いんだよ心が繋がっていれば!と思わせる気取りのないものばかり。
きっと彼の作る料理も気取らなくてあったかいものなのでしょう。
* * *
あまりに日常的なお菓子が多くて、名称だけでは???の食べ物も多かったのですが、
そこはネットで検索に掛ければ一気に解決、なーんだアレのことじゃん!と
納得すれば一層味わいも深まるというもの。
もともと調べ物大好きなので時には読書を忘れて検索に夢中になっていることも…
レシピや画像で確認できるからホントありがたいです。
というわけで覚えているものだけざっとリストにしてみました。
単語上のリンクは「Wikipedia英語版」、Wikipediaに登録されてないものは別途リンク先を設けてみました。
多分イギリス人なら知ってて当然、なんでしょうが:
Aga:これは食べ物じゃなくて同名メーカーの据付式大型コンロ&オーブン。暖房機能も兼ねるという、
まさに寒い国ならではの設備。きっと冬は暖かい台所に家族がわらわら集まってくるんでしょうね。いいなー。
(メーカー公式サイト)
arctic roll:アイスのロールケーキ
flapjack:麦芽飴みたいなもの?紹介されてるのは市販のバー状のものですが、この本の中では母親の手作り
(そして焦がすト)
Angel Delight:ねばり飴?(あー日本語が出てこない)(参考サイト)
Space Dust:私の世代で言うところの「ドンパッチ」(懐かしい…)。口の中でパチパチはじけるお菓子。
(参考サイト)
dandelion and burdock:ソフトドリンク
damson/greengage:いずれもプラムの一種
sherbet fountain:シャーベットじゃなくてソーダパウダー、大抵リコリスのストロー付
crumpet:これは「キングとジョーカー (扶桑社ミステリー)」にも出てきました。バターつけて炙って食べる
パンケーキみたいなお菓子。
Ribena:黒スグリのジュース。日本でもDHCにて発売中とか(叶美香嬢がイメージキャラクター…
なんかメイクが恐い)(DHCの紹介サイト)
Jammie Dodgers:ジャムサンドクッキー
fairy cake :カップケーキ
Bourbon biscuit:チョコクリームビスケット。ビスケット部分もチョコ味で長方形が原則。
Victoria sandwich:バターケーキのスポンジ台2つの間にラズベリーなどのジャムをはさんだもの。(BBCによるレシピ)
Pavlova:焼メレンゲのケーキ。表面はパリッと、中はしっとり柔らかい。(しかし紹介写真はまずそう…)
- 作者: ロディ・ドイル,実川元子
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 1994/09
- メディア: 単行本
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食べ物の話というのを抜きにして考えると、少年のオモシロ切ない成長物語という意味では
これが近いかなーと思って載せてみました。ブッカー賞受賞作。