「Measuring the World (Die Vermessung der Welt)」(ダニエル・ケールマン)

Measuring the World: A Novel

Measuring the World: A Novel


英語で読了。原書は昨年よりドイツでずっとベストセラーのこちら↓:


De Vermessung Der Welt

De Vermessung Der Welt


18世紀末から19世紀初頭に掛けて活躍した2人のドイツ人。
アレクサンダー・フォン・フンボルトは世界中を旅し、訪れた土地は隈なく計測し、
珍しい鉱物や植物や動物や時には人間の死体まで収集して分析した。
対照的にフリードリヒ・ガウスはほとんどドイツから離れることはなかったが、
数学における天才的能力を駆使して実世界や天界、さらには抽象的空間を支配する法則を導き出す。
ナポレオンが欧州の既存システムの再編成を目論む時代を背景に、そんな2人のつかの間の邂逅、
誤解と理解、そして物語は新たな展開を見せる…。


実在の学者(しかも著名人)をモデルとした歴史小説となると重厚な内容を予想させるけれど、
ケールマンの作風はあくまで飄々。天才は一歩間違えば奇人だし、時代の限界で今の私たちから見れば
随分滑稽な仮説も生み出す(「未来では歯を抜かなくても治療出来るしハゲだっていなくなるさ!」)。
一般人との噛み合わない会話も不条理コントみたいな妙なおかしさがある。
日本だったら誰かがへたうまマンガにしてくれそう。
幕切れは意外な爽快感にびっくりしました。いや、痛快痛快。


【参考】
アレクサンダー・フォン・フンボルト(Wikipedia日本語版)
カール・フリードリヒ・ガウス(同上)
Aime Bonplan(エメ・ボンプラン)(Wikipedia英語版)Wikipedia日本語版には表記が無かったのだけど、
  サンチョ・パンサ的役割の楽しいキャラだったので追加!



ケールマンの前作「ぼくとカミンスキー(Ich und Kaminski)」はDeLi誌第6号(asin:4806084832)で
抄訳が掲載されているけれど、こちらも妙におかしいので是非全訳希望!なのです。