「Atonement(贖罪)」(2007)


ダブリンの映画館で鑑賞。原作は言わずと知れたイアン・マキューアンのベストセラー。
アイルランドでは英国と同じく9月から公開ということだったので、タイミングが合えば観られるかな?と
ちょっと期待していたら、うまい具合に空き時間に街中の映画館に潜り込めました。


Ost: Abbitte (atonement) ●日本公開予定:2008年正月



贖罪

贖罪



以下、原作を先に読んだ者としての感想:
とても原作に忠実な映画でした。それもただ筋書きをなぞるという意味ではなく、原作の意図を充分汲んだ、
という意味で極めて綿密に構成された作品だと思いました。時々唐突に時系列が過去に遡るのに最初は
戸惑いましたが、それも原作の内容を映画として効果的に提示する手段として選ばれたものだということが
段々分かってきます。


前半は若い二人の絡みが結構エロティックで、これがやっぱり映像の力?(汗)
しかし手紙を間違えるあたりは一歩間違えるとギャグですねー、普通間違えないだろあそこで!と
突っ込みたくなったりして。


映画としての見所はブライオニーの直角曲がり…じゃなくて、やはり中盤の海岸でのカメラの長廻しでしょうか。
これは撮るのが大変だったでしょうけど、観る側としてはたまらなく快感でした。この辺りから
「原作との比較」を忘れて純粋に一観客として映画にのめりこみました。
あとは最後の「独白」まで緊張が途切れることなく持続して、予想以上に満足度の高い鑑賞となりました。
特にヴァネッサ・レッドグレーブは短時間の出演ながら正に名女優ならではの迫力と説得力。


キーラちゃん(キーラ・ナイトレイ)は個人的に好きだし今回もとても良かったのですが、
どんどん痩せてきちゃってこのまま進行すると「鈴木その子」になってしまうんではないか?と心配になってきました。
この点もっと先輩のケイト・ウィンスレットを見習っていただきたい。胸はなくてもいいからさ。



さて、邦題はまだ正式に決定していないようですが…頼むからトンデモぽいのとか「愛の○○」みたいなのは
止めていただきたいものです。
振り返るとマキューアン原作の映画って碌な邦題がついてないのです。さんざん文句言ってる
「Jの悲劇(原題:Enduring Love)」以外にも「愛の果てに(The Innocent)」とか
「ルナティック・ラブ/禁断の姉弟(Cement Garden)」とか、聞いただけで観る気半減、みたいなのばかり。


かといって片仮名で「アトーンメント」ってのも困るし…普通に「贖罪」とか「贖い」になるかな?
でも読めないって人が出てきたらどうしよう…ファンの悩みはつきないです。



【参考?】
「【怖い顔】ヴェネチア映画祭キーラ・ナイトレイ 」(ABCdane.net)
http://abcdane.net/blog/archives/200708/keira_vfest_kowai1.html
キーラちゃん、発言おもしろすぎ。