「Runaway」(アリス・マンロー)


古本市で購入。マンローだかモンローだかムンローだか、すぐに分からなくなる私…。


Runaway

Runaway



評判の高い作家だけあって、さすがに読み応えがあった。


全8篇の短編集。出てくる女性たちは、みな自分の居場所をうまく定められないで、
どこか他のところ、「ここ」ではないどこかを求めている。大抵の場合20−60年代の
田舎が舞台となっていることもあって、賢い女性はその才能を素直に認められず、
むしろ奇形もしくは障害を抱えているかのように扱われている。


大抵の場合彼女たちは結局その場所から飛び出していくのだが、たとえそれで社会的成功を収めたとしても、
それが幸福なのかどうかは本人にも分からない、そんな終わり方の物語。


と、こう書いてみると何だかとってもフェミニズム色の強い話のような印象で、
実際私はこれを男の人がどう楽しんで読むのかうまく想像できないのだけど、
「コレクションズ」のジョナサン・フランゼンが冒頭で紹介文を寄せているくらいだし、
私の読み方はちょっと偏りすぎているのかも。
もしくはこの短編集にたまたまそういう傾向の話が多かったのだろうか。


これを読んで連想したのは同じカナダの女性作家、キャロル・シールズ。
惜しくも既に故人となってしまったが、彼女の作品にも理論先行ではなく自らの体験を通じて
掴み取ってきた女性の尊厳、のようなものを感じていた。
この2人の旧作を掘り起こして比較しながら読んでみたくなった。



Unless

Unless

2002年ブッカー賞候補作。とても好きだった。