「ダンテ・クラブ」(マシュー・パール)


単行本を古本で購入。本当は2作目の「The Poe Shadow」の方に興味があったのですが、せっかく翻訳が出てるなら
こっちから読んでみようと思って:


ダンテ・クラブ

ダンテ・クラブ

(文庫版:上asin:4102163514・下asin:4102163522

「来世を旅するというこのアイデア、地獄の劫罰を記録するというこのアイデア―――これはあまりにもどぎつすぎるよ、ローウェル。
(略)じつに中世的で、スコラ的で……」
カトリック的だ」ローウェルがそう言うと、ヒルは沈黙した。「そうおっしゃりたいんでしょう、学長?ハーヴァード大学の講座としては、あまりにイタリア的で、あまりにカトリック的だと」(単行本 p.37)

神曲」自体は未読ですが、全然問題なくグイグイ引き込まれて読んじゃいました。著者はバリバリ新鋭のダンテ学者とのことで、
もう物語全編にダンテLOVE!がほとばしっております。これを読んだら、わああ「神曲」読まなきゃ!って絶対思っちゃいますよ。


先日読んだヘンリー・ジェイムズの「ボストンの人々」と舞台&時代設定が近いことも良かったのかもしれないです。
建国当時は理想主義に燃えていたからこそ、南北戦争という国家最大の苦難の後に反動もしくは頑迷な思想に陥る知識人達の姿を描く、
という意味で共通する部分は多いと感じました。
その頑なさは現代のアメリカにも通じている気がします。




The Poe Shadow: A Novel

The Poe Shadow: A Novel

で、このダンテ学者さんの描くエドガー・アラン・ポーは果たしてどんなことに?
興味津々なのですが、翻訳がそろそろ出るならそれを待ちたいな…どうなんでしょう新潮社さん。