「The Thirteenth Tale」(Diane Setterfield)

The Thirteenth Tale

The Thirteenth Tale


父親の古本屋を手伝いながら、駆出しの伝記作家として市井の人々の人生を書き記す
趣味を持つマーガレットの元に、ある日大女流作家ヴィダ・ウィンターから伝記執筆の依頼が届く。
ウィンターはこれまでも数多くの伝記が著されている作家だが、その生い立ちは
彼女の小説と同様多くのフィクションに彩られており、同じ内容のものは何一つない。
その彼女がマーガレットには全て真実を語る、と言うのだが…。


父親が古本屋、という設定に思わず「それって『風の影』ですかあ?」と突っ込みを入れつつ読む。
本屋とか古本屋とか図書館とか、この種の設定はつい本好きが飛びつくからトクですね。


内容も『風の影』をちょっと連想させるゴシック風味の家族のどろどろ+ミステリ。
ただし主人公の読書好きはこっちの方が徹底していて、物語自体も「ジェーン・エア」、
嵐が丘」「白衣の女」「ねじの回転」あたりを意識した展開になっている。


ただこのブッキッシュな設定が私にはあざとく感じられて、思ったよりのめりこめなかった。
登場人物もほとんどが頭か心がどっかに逝っちゃったような人たちばかりで、魅力に乏しい。
後半に出てくる大男さんだけがオイシイところを持っていった感じ。


『風の影』よりもうちょっと現実の文学史をなぞっていて、かつミステリっぽい話が読みたい人に
おススメします。私は後半ちょっと飽きました。