「The Brooklyn Follies」(ポール・オースター)


The Brooklyn Follies

The Brooklyn Follies


彼自身が編集した「全部実話」が売りの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」に対抗意識を燃やして
(「ふんっ俺の作る話の方がずっと面白いぜ!」みたいな)書かれたように思える小説。
病み上がりの初老男性ネイサンと、その甥で半分降りた人生を送るトムを中心に、
人間くさいエピソードをふんだんに盛り込んだ笑いと涙満載の物語。
「ええ話やなー」としみじみはするけど、私個人としてはもっと暗黒面に落ちてる方が
好きですね。えげつない逸話もいっぱいあるけど、基本的には素直な人間賛歌です。


元々この人の文章は読みやすいのだけど、今回はそれに輪をかけてすらすらっと読めるので
思わず自分の英語力を過信してしまいそうになるけど、これも作者の戦略なんでしょう。



チーズバーガーズ―Cheeseburgers 【講談社英語文庫】

チーズバーガーズ―Cheeseburgers 【講談社英語文庫】

洋書を読み始めた頃にハマッていたボブ・グリーンのコラムを思い出しました。
この人も読みやすい文章で、日常の「じわーんと良い話」を拾い上げてくる。
あの頃は私ももっと素直だった…。