「過去の克服」(石田勇治)


日本人向け図書室にて借出し:


過去の克服―ヒトラー後のドイツ

過去の克服―ヒトラー後のドイツ


白水社では2005年に「ドイツ現代史」シリーズ(全4冊)を刊行しており、
私もそのうち2冊を読んだわけだが、著者はこのシリーズの監修者にあたっている。
実際こちらの本を読んでみると、こちらが原典というか基盤というか、
この本で語られている中から幾つかトピックを選び出して初心者にも分かり易く噛み砕いたものが
「現代史」シリーズとして刊行された、という印象を受けた。


「現代史」シリーズを読んでから包括的な考察を得るためにこの本を読むもよし、
こちらを先に読んで、更にアップデートの情報を得る意味でシリーズを読むもよし。
いずれにしても相互補完的に読んでおきたい一冊。




戦争の罪を問う (平凡社ライブラリー)

戦争の罪を問う (平凡社ライブラリー)


ヤスパースは名前くらいは聞いたことはあったが、今回この本を読んで一番胸を衝かれたのは
戦争責任に対する彼の真摯な考察だった。
皆が戦争に疲れきり責任から逃れようと及び腰になっているときに、冷静に自己を見つめ
引き受けるべきものから逃げようとしない、その姿勢が素晴らしい。
非常にキリスト教的な考え方だとも思うが、深いなあ…と感じ入ってしまった。
彼の思想についてはもう少し詳しく調べてみたいと思う。


●参考:「カール・ヤスパースのホームページ」(今本 秀爾)
http://www1.kcn.ne.jp/~imashu/Jaspers.htm